こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
07/26/2018にLinux Kernelの複数の脆弱性(CVE-2018-10876, CVE-2018-10877, CVE-2018-10878, CVE-2018-10879, CVE-2018-10880, CVE-2018-10881)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10876
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10877
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10878
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10879
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10880
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10881
Priority
Moderate
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10876
use-after-freeの可能性
Linux Kernelで、ext4ファイルシステムコードに問題が有りました。細工されたext4イメージをマウントして操作する際に、ext4_ext_remove_space()関数でuse-after-freeが発生する可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10877
境界外アクセスの可能性
Linux Kernelで、ext4ファイルシステムコードに問題が有りました。細工されたext4イメージをマウントして操作する際に、ext4_ext_drop_refs()関数で境界外アクセスが発生する可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10878
境界外書き込みとDoSの可能性
Linux Kernelで、ext4ファイルシステムコードに問題が有りました。ローカルユーザが細工されたext4イメージをマウントして操作する際に、境界外書き込みとDoSを引き起こす事ができる可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10879
use-after-freeとDoSの可能性
Linux Kernelで、ext4ファイルシステムコードに問題が有りました。ローカルユーザが細工されたext4イメージをマウントして操作する際に、ext4_xattr_set_entry()関数でuse-after-freeを引き起こすことによるDoSを発生させられる可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10880
DoSとシステムクラッシュの可能性
Linux Kernelで、ext4ファイルシステムコードに問題が有りました。細工されたext4イメージをマウントして操作する際に、ext4_update_inline_data()関数でスタックベース境界外書き込みが発生する可能性があり、攻撃者はこれを利用してシステムをクラッシュさせたりDoSを発生させることができる可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10881
DoSとシステムクラッシュの可能性
Linux Kernelで、ext4ファイルシステムコードに問題が有りました。ローカルユーザは細工されたext4イメージをマウントして操作する際に、ext4_group_info()関数で境界外アクセスを発生する事が出来、DoSやシステムクラッシュを発生させることができる可能性が有ります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-10876
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-10877
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-10878
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-10879
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-10876
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-10877
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-10878
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-10879
Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10876.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10877.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10878.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10879.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10880.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10881.html
SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-10876.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-10877.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-10878.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-10879.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10876
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10877
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10878
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10879
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10880
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10881
セキュリティ系連載案内
OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 1
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https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。
セミナー情報 2
2018年8月6日に「OSSセキュリティ技術の会 座談会(第一回)」を開催します。OSSセキュリティ技術の会では、講演形式の勉強会シリーズを行っていますが、今回は新たな試みとして座談会形式の会合を行います。
https://secureoss-sig.connpass.com/event/92782/にプログラム内容と申し込みの詳細を載せていますので、是非御参加下さい。