linux kernelに特権昇格の脆弱性(Dirty COW: CVE-2016-5195)
(10/28補足:実際の攻撃も観測されています)。
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面です。
10/21に、Kernelに関して脆弱性(Dirty COW)という権限昇格の情報が出ています。Exploitも公開されているため、今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
(10/28補足:実際にDirty COWを狙った攻撃も観測されています。)
Priority
Important
(10/25補足:今回の脆弱性は、SELinuxを有効にしていても防げるタイプではありません(SELinuxはシステムコールをフックしてアクセス制御を行うため、今回の脆弱性のようなタイプは防げません))。
(10/28補足:実際にDirty COWを狙った攻撃も観測されていますので、迅速な対応が求められます。)
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- CVE-2016-5195
悪意のある非特権ユーザによる特権昇格の可能性
重要度 – Important
Linuxカーネル中のメモリサブシステムでcopy-on-write(COW)処理に競合状態が発生する可能性が有ります。これを利用して、ローカルの非特権ユーザがその他のread-onlyメモリマッピングに対して書き込み権限を得ることが可能になり、結果としてシステムで特権を得ることが可能になります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
debian
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Oracle Linux
http://linux.oracle.com/cve/CVE-2016-5195.html
(Ksplice対応)
Oracle Linux 7: https://oss.oracle.com/pipermail/ksplice-el7-updates/2016-October/000033.html
Oracle Linux 6: https://oss.oracle.com/pipermail/ksplice-el6-updates/2016-October/000071.html
Oracle Linux 5: https://oss.oracle.com/pipermail/ksplice-el5-updates/2016-October/000076.html
ubuntu
SUSE/openSUSE
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2016/CVE-2016-5195.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
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