Linux Kernelに複数の脆弱性(CVE-2017-15126, CVE-2017-15127, CVE-2017-15128)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
01/15/2018にLinux Kernelに複数の脆弱性情報(CVE-2017-15126, CVE-2017-15127, CVE-2017-15128)が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15126
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15127
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15128
Priority
Moderate(CVE-2017-15126,CVE-2017-15128)/Low(CVE-2017-15127)
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15126
use-after-freeの脆弱性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.13.6以前のfs/userfaultfd.c中にイベントメッセージを扱った際でforkが失敗した際にuse-after-freeが起きる可能性がある脆弱性が見つかりました。
userfaultfd_event_wait_completion()関数、userfaultfd_ctx_read()関数に修正が加わっています。
変更部分はkernelのコミット情報を参照してください。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15127
ローカルユーザによるDoSの可能性
重要度 – Low
Linux Kernel 4.13以前では、mm/hugetlb.cでのhugetlb_mcopy_atomic_pte()関数で、VM_SHARED hugetlbfsマッピングに対する過剰なページunlock操作がDoSを引き起こす可能性が有ります。
この部分の修正は下記になります。
diff --git a/mm/hugetlb.c b/mm/hugetlb.c index a1a0ac0..31e207c 100644 --- a/mm/hugetlb.c +++ b/mm/hugetlb.c @@ -4062,9 +4062,9 @@ out: return ret; out_release_unlock: spin_unlock(ptl); -out_release_nounlock: if (vm_shared) unlock_page(page); +out_release_nounlock: put_page(page); goto out; }
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15127
DoSの可能性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.13.12以前では、mm/hugetlb.cでのhugetlb_mcopy_atomic_pte()関数でサイズのチェックが不足していました。これにより、DoSが引き起こされる可能性が有ります。
hugetlb_mcopy_atomic_pte()関数に修正が加わっています。
変更部分はkernelのコミット情報を参照してください。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-15126
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2017-15126
Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-15126.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-15127.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-15128.html
SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-15126.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15126
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15127
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-15128
https://github.com/torvalds/linux/commit/5af10dfd0afc559bb4b0f7e3e8227a1578333995
https://github.com/torvalds/linux/commit/1e3921471354244f70fe268586ff94a97a6dd4df
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