こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
こちらでは主にOSSの脆弱性を取り上げていきます。11/06/2018にnginxの脆弱性情報(Medium: CVE-2018-16843, CVE-2018-16844, Important: CVE-2018-16845)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
11/20追記: この脆弱性を悪用した攻撃が広がってきていて、「Face-NGINX」というエクスプロイトも開発しているそうなので、”関連ニュース(攻撃)”を追加しました。
関連ニュース(攻撃): 外部リンク
Nginxの脆弱性を悪用する攻撃準備中か、ダークウェブの観察で判明(Antuit)(ScanNetSecurity)
Nginxの脆弱性を悪用する攻撃の予兆を検知、 DoS攻撃や情報搾取の可能性 CYFIRMA脅威インテリジェンスチーム、注意喚起レポートを発表 (atpress)
Priority
- CVE-2018-16843
Medium
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 5.3
- Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:L
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 5.3
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:L
- NVD
- SuSE
- CVE-2018-16844
Medium
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 5.3
- Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:L
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 5.3
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:L
- NVD
- SuSE
- CVE-2018-16845
Important
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 8.2
- Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:H
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 8.2
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:H
- NVD
- SuSE
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-16843
- 膨大なメモリ消費の可能性
- 重要度 – Medium
- 影響範囲:1.9.5 – 1.15.5
- HTTP/2の実装に問題があり、膨大なメモリ消費を引き起こす可能性が有ります。
- この問題は、nginx_http_v2_module(デフォルトではコンパイルされません)がコンパイルされていて、設定ファイルの”listen”ディレクティブに”http2″オプションが設定されている場合に発生します。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-16844
- 膨大なメモリ消費の可能性
- 重要度 – Medium
- 影響範囲:1.9.5 – 1.15.5
- HTTP/2の実装に問題があり、膨大なCPU消費を引き起こす可能性が有ります。
- この問題は、nginx_http_v2_module(デフォルトではコンパイルされません)がコンパイルされていて、設定ファイルの”listen”ディレクティブに”http2″オプションが設定されている場合に発生します。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-16845
- 情報の漏洩とDoSの可能性
- 重要度 – Important
- 影響範囲:1.1.3+ , 1.0.7+
- ngx_http_mp4_moduleに、特別に細工されたmp4ファイルを用いてworkerプロセスに無限ループを引き起こさせ、workerプロセスをクラッシュさせたり、workerプロセスのメモリ情報を開示させてしまう可能性がある脆弱性が見つかりました。
- この問題は、nginx_http_mp4_module(デフォルトではコンパイルされません)がコンパイルされていて、設定ファイルに”mp4″ディレクティブが設定されている場合に発生します。
- さらに、攻撃は攻撃者が特別に細工されたmp4ファイルをngx_http_mp4_moduleに処理させることが出来る場合に発生します。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-16843
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-16843
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-16843.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-16844.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-16845.html
- SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-16843.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 2
2018/11/14 17:00に、「NGINX MeetUp Tokyo #1」を行います。
今回はNGINX .conf 2018 現地参加者より最新情報を共有させて頂きます。
https://nginx-mj.connpass.com/event/103617/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。