こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/21/2019にLinux Kernelの複数の脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-15211, CVE-2019-15212, CVE-2019-15213, CVE-2019-15214)が公開されています。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
(注) この記事はこちらの記事にマージします。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-9506)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-10207)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2018-16871)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-14283, CVE-2019-14284)
一次情報源
https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1743544
https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1743556
Priority
- CVE-2019-15211
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 7.3 (Moderate)
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:L/A:L
- NVD
- SuSE
- CVE-2019-15212
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 6.1 (Moderate)
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:N/UI:R/S:U/C:N/I:L/A:H
- NVD
- SuSE
- CVE-2019-15213
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 6.1 (Moderate)
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:N/UI:R/S:U/C:N/I:L/A:H
- NVD
- SuSE
- CVE-2019-15214
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 6.1 (Moderate)
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:N/I:L/A:H
- NVD
- SuSE
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-15211
- use-after-freeの可能性
- 重要度 – Moderate
- 5.2.6より前のLinux Kernelでは、drivers/media/radio/radio-raremono.c でメモリをきちんとアロケートしていなかったため、悪意のあるUSBデバイスドライバ(drivers/media/v4l2-core/v4l2-dev.c)によりuse-after-freeが引き起こされる可能性があります。
- double-freeの可能性
- 重要度 – Moderate
- 5.1.8より前のLinux Kernelでは、drivers/usb/misc/rio500.cドライバに、悪意のあるUSBデバイスがdouble-freeを引き起こす事が出来る可能性が有馬す。
- use-after-freeの可能性
- 重要度 – Moderate
- 5.2.3より前のLinux Kernelでは、drivers/media/usb/dvb-usb/dvb-usb-init.c で、悪意のあるUSBデバイスによりuse-after-freeが引き起こされる可能性があります。
- use-after-freeの可能性
- 重要度 – Moderate
- 5.0.0より前のLinux Kernelでは、sound/core/init.c and sound/core/info.cに関係してカードの切断時に構造体の削除が早すぎるため、サウンドサブシステムでuse-after-freeを引き起こす事ができる可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2019-15211
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2019-15212
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2019-15211
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2019-15212
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-15211.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-15212.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-15213.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-15214.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1743544
https://bugzilla.redhat.com/show_bug.cgi?id=1743556
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
コンピュータセキュリティシンポジウム2019(長崎)が2019年10月21日(月) ~ 10月24日(木)で開催されます。
こちらですが、OSSセキュリティ技術の会も後援になっており、オープンソースソフトウェア(OSS)セキュリティ技術トラック(略称:OWSトラック) も用意しております。
セミナー情報2
“distro info”: vol.1 と題しまして、各種ディストリビューションの情報を関係者から直接お届けするイベント「distro info」が開催されます。
今回は、先日リリースされたDebian10について、Debianの概要から含めての説明〜Debian10での特徴の紹介をします。ざっくり概要を把握されたい方から、発表者に確認の質問をしてみたい方までどうぞご参加下さい。
また、先月末にブラジルでDebian Conferenceが行われましたのでその紹介を行います。「Debianのカンファレンスってこんなのなんだな」というのを現地エピソードなど交えてお話します。