こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/26/2019にLinux Kernelの複数の脆弱性情報(Critical: CVE-2019-15504, Moderate: CVE-2019-15505)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-9506)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-10207)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2018-16871)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-14283, CVE-2019-14284)
一次情報源
https://lore.kernel.org/lkml/20190819220230.10597-1-benquike@gmail.com/
https://lore.kernel.org/lkml/b9b256cb-95f2-5fa1-9956-5a602a017c11@gmail.com/
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|
CVE-2019-15504 | 5.2.9より前のLinux Kernel | SuSE: Critical | NVD: CVSS 9.8 CRITICAL/CVSS Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
CVE-2019-15505 | 5.2.9より前のLinux Kernel | SuSE: Moderate | SUSE: CVSS 6.1/CVSS Vector: AV:P/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:H NVD: CVSS 9.8 CRITICAL/CVSS Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-15504
- double-freeの可能性
- 5.2.9より前のLinux Kernelでは、drivers/net/wireless/rsi/rsi_91x_usb.cに問題があり、細工されたUSBデバイストラフィックによりDouble Freeが発生する可能性が有ります。
- 境界外読み込みの可能性
- 5.2.9より前のLinux Kernelでは、drivers/media/usb/dvb-usb/technisat-usb2.cに問題があり、細工されたUSBトラフィックにより境界外読み込みが発生する可能性が有ります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://lore.kernel.org/lkml/20190819220230.10597-1-benquike@gmail.com/
https://lore.kernel.org/lkml/b9b256cb-95f2-5fa1-9956-5a602a017c11@gmail.com/
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
コンピュータセキュリティシンポジウム2019(長崎)が2019年10月21日(月) ~ 10月24日(木)で開催されます。
こちらですが、OSSセキュリティ技術の会も後援になっており、オープンソースソフトウェア(OSS)セキュリティ技術トラック(略称:OWSトラック) も用意しております。