Linux Kernelの脆弱性(CVE-2017-11472, CVE-2017-11473)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
07/10/2017にLinux Kernelの脆弱性情報(CVE-2017-11472, CVE-2017-11473)が公開されました。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11472
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11473
Priority
Moderate
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11472
ローカルユーザによる機密情報取得の可能性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.12まででは、drivers/acpi/acpica/nsutils.c中のacpi_ns_terminate()でオペランドキャッシュを消去していなかったため、これを利用した悪意のあるローカルユーザにより、細工したACPIテーブルを用いてKASLR保護メカニズムを迂回してKernelメモリから情報を取得される可能性があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11473
ローカルユーザによる権限昇格の可能性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.12.2まででは、arch/x86/kernel/acpi/boot.c中のmp_override_legacy_irq()関数にバッファーオーバーフローの問題があるため、これを利用した悪意のあるローカルユーザにより、細工したACPIテーブルを用いて権限を昇格される可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11472
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11473
講演内容募集案内
2017年10月21日-22日まで開催されるopenSUSE.Asia Summit 2017 Tokyoの講演内容募集(CFP)が始まりました。
https://news.opensuse.org/2017/07/07/opensuse-asia-summit-2017-tokyo-call-for-proposals-is-open/
講演募集の締切は8/14(月)で、日本語でも講演は可能です。
セキュリティに関してのトピックは
FLOSS Security
Access/Integrity control (e.g., AppArmor, IMA, Audit)
Cryptography
Vulnerability management
となってます。御応募を是非お願い致します。
セミナー情報
7/27(水)に「OSSセキュリティナイターvol.6」と題して、セキュリティのセミナーを行います。この回では、『SELinuxの現状とLinuxセキュリティ』と題してSELinuxの最新動向から実際の効果を、デモを交えて説明致します。
今回も、前回に引き続き、ゲスト講師をお招きし講演をいただきます。
https://connpass.com/event/61395/がプログラム内容と申し込みの詳細になりますので、是非お申し込み下さい。