Linux Kernelの脆弱性(CVE-2017-13693, CVE-2017-13694, CVE-2017-13695)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/26/2017にLinux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2017-13693, CVE-2017-13694, CVE-2017-13695)が公開されました。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13693
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13694
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13695
Priority
Moderate
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13693
ローカルユーザによる機密情報取得の可能性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.12.9までの drivers/acpi/acpica/dsutils.c中のacpi_ds_create_operands()関数に、オペランドキャッシュを消去していない問題が見つかりました。これにより、ローカルのユーザが細工されたACPIテーブルを用いて、Linux Kernel 4.9から導入されているKASLRをバイパスし、カーネルメモリから機密情報を取得できる可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13694
ローカルユーザによる機密情報取得の可能性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.12.9までの drivers/acpi/acpica/psobject.c中のacpi_ps_complete_final_op()関数に、node/node_extキャッシュを消去していない問題が見つかりました。これにより、ローカルのユーザが細工されたACPIテーブルを用いて、Linux Kernel 4.9から導入されているKASLRをバイパスし、カーネルメモリから機密情報を取得できる可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13695
ローカルユーザによる機密情報取得の可能性
重要度 – Moderate
Linux Kernel 4.12.9までの drivers/acpi/acpica/nseval.c中のacpi_ns_evaluate()関数に、オペランドキャッシュを消去していない問題が見つかりました。これにより、ローカルのユーザが細工されたACPIテーブルを用いて、Linux Kernel 4.9から導入されているKASLRをバイパスし、カーネルメモリから機密情報を取得できる可能性が有ります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-13693
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2017-13693
Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-13693.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-13694.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-13695.html
SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-13693.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13693
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13694
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-13695
セミナー情報
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