Linux KernelのUSB周りに複数の脆弱性(追加)(CVE-2017-16643, CVE-2017-16644, CVE-2017-16645, CVE-2017-16646, CVE-2017-16647, CVE-2017-16648, CVE-2017-16649, CVE-2017-16650)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
11/03/2017にUSB周りでのLinux Kernelの複数の脆弱性情報に追加(CVE-2017-16643, CVE-2017-16644, CVE-2017-16645, CVE-2017-16646, CVE-2017-16647, CVE-2017-16648, CVE-2017-16649, CVE-2017-16650)が出ています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16643
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/input/tablet/gtco.cのparse_hid_report_descriptor()関数に問題があり、ローカルユーザが細工されたUSBデバイスによってDoS(境界外読み出しとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16644
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/media/usb/hdpvr/hdpvr-core.cの hdpvr_probe()関数に問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(不正なエラーハンドリングとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16645
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/input/misc/ims-pcu.cのims_pcu_get_cdc_union_desc()関数に問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(ims_pcu_parse_cdc_data境界外読み出しとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16646
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/media/usb/dvb-usb/dib0700_devices.cに問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(BUGとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16647
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/net/usb/asix_devices.cに問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(NULLポインタディリファレンスとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16648
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/media/dvb-core/dvb_frontend.cのdvb_frontend_free function()関数に問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(use-after-freeとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。注意:この関数は__dvb_frontend_free()と名前が変えられました。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16649
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/net/usb/cdc_ether.c のusbnet_generic_cdc_bind()関数に問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(ゼロ除算エラーとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-16650
細工されたUSBデバイスによるシステムクラッシュの可能性
4.13.11以前のLinux Kernelでは、drivers/net/usb/qmi_wwan.cのqmi_wwan_bind()関数に問題があり、細工されたUSBデバイスを用いてローカルユーザによるDoS(ゼロ除算エラーとシステムクラッシュ)を引き起こすことが可能です。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
セキュリティ系連載案内
OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
セミナー情報
2017/11/29 19:00に、OSSセキュリティ技術の会 第二回勉強会を行います。
今回のテーマは新世代のOSS認証基盤です。
https://connpass.com/event/69314/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。