こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
07/26/2018にLinux Kernelの複数の脆弱性(CVE-2018-14610, CVE-2018-14611, CVE-2018-14612, CVE-2018-14613, CVE-2018-14614, CVE-2018-14615, CVE-2018-14616, CVE-2018-14617)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14610
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14611
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14612
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14613
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14614
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14615
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14616
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14617
Priority
Moderate
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14610
境界外アクセスの可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。細工されたbtrfsイメージをマウントして操作した時に、fs/btrfs/extent-tree.c中のbtrfs_read_block_groups()でブロックグループが該当するチャンクなのかをマウントした時に検証する処理に漏れがあったため、write_extent_buffer()で境界外アクセスが発生する可能性があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14611
use-after-freeの可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。細工されたbtrfsイメージをマウントして操作した時に、fs/btrfs/volumes.c中のbtrfs_chunk_valid()でチャンクタイプのフラグ確認処理に漏れがあったため、try_merge_free_space()でuse-after-freeが発生する可能性があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14612
不正なポインタ被参照の可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。細工されたbtrfsイメージをマウントして操作した時に、fs/btrfs/tree-checker.c中のcheck_leafでのempty-treeチェック処理と、fs/btrfs/extent-tree.c中のbtrfs_read_block_groups()でのチャンクブロックグループマッピング検証に漏れがあったため、btrfs_root_node()で不正なポインタ被参照が発生する可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14613
不正なポインタ被参照の可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。細工されたbtrfsイメージをマウントして操作した時に、fs/btrfs/tree-checker.c中のcheck_leafでブロックグループアイテム検査処理に漏れがあったため、io_ctl_map_page()で不正なポインタ被参照が発生する可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14614
境界外アクセスの可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。f2fsイメージをマウントした時に、fs/f2fs/segment.c中の__remove_dirty_segment()で境界外アクセスが発生する可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14615
DoSとシステムクラッシュの可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。f2fsイメージをアンマウントした時に、長さが負の数になってしまうため、fs/f2fs/inline.c中のtruncate_inline_inode()でバッファーオーバーフローが発生する可能性があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14616
NULLポインタ被参照の可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。壊れたf2fsイメージ中のファイルを処理する際に、fs/crypto/crypto.c中のfscrypt_do_page_crypto()でNULLポインタ被参照が発生する可能性があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14617
NULLポインタ被参照の可能性
4.17.10までのLinux Kernelで問題が見つかりました。hfs+のファイルシステムで不正なカタログデータを持つものファイル(ハードリンク)を開く際や、メタデータディレクトリを除いて読み込み専用でマウントされているファイルシステムのファイルを開く際、fs/hfsplus/dir.c中のhfsplus_lookup()関数でNULLポインタ非参照が発生する可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-14610
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-14611
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-14612
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-14613
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-14614
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-14615
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-14610.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-14611.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-14612.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-14613.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-14614.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-14615.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14610
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14611
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14612
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14613
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14614
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14615
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14616
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-14617
セキュリティ系連載案内
OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 1
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https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。
セミナー情報 2
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https://secureoss-sig.connpass.com/event/92782/にプログラム内容と申し込みの詳細を載せていますので、是非御参加下さい。