こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/31/2018にLinux Kernelの脆弱性情報(CVE-2018-16276)が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
Priority
Moderate
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-16276
- ローカルユーザによるカーネルクラッシュ又は特権昇格の可能性
- 重要度 – Moderate
- 4.17.7以前のLinux Kernelのdrivers/usb/misc/yurex.c中のyurex_read()の境界チェックに問題が見つかりました。ローカルの攻撃者はこれを悪用することで、カーネルをクラッシュさせたり、特権昇格ができる可能性が有ります。
- この問題の修正は以下になります。
diff --git a/drivers/usb/misc/yurex.c b/drivers/usb/misc/yurex.c index 8abb6cbbd98a..3be40eaa1ac9 100644 --- a/drivers/usb/misc/yurex.c +++ b/drivers/usb/misc/yurex.c @@ -396,8 +396,7 @@ static ssize_t yurex_read(struct file *file, char __user *buffer, size_t count, loff_t *ppos) { struct usb_yurex *dev; - int retval = 0; - int bytes_read = 0; + int len = 0; char in_buffer[20]; unsigned long flags; @@ -405,26 +404,16 @@ static ssize_t yurex_read(struct file *file, char __user *buffer, size_t count, mutex_lock(&dev->io_mutex); if (!dev->interface) { /* already disconnected */ - retval = -ENODEV; - goto exit; + mutex_unlock(&dev->io_mutex); + return -ENODEV; } spin_lock_irqsave(&dev->lock, flags); - bytes_read = snprintf(in_buffer, 20, "%lld\n", dev->bbu); + len = snprintf(in_buffer, 20, "%lld\n", dev->bbu); spin_unlock_irqrestore(&dev->lock, flags); - - if (*ppos < bytes_read) { - if (copy_to_user(buffer, in_buffer + *ppos, bytes_read - *ppos)) - retval = -EFAULT; - else { - retval = bytes_read - *ppos; - *ppos += bytes_read; - } - } - -exit: mutex_unlock(&dev->io_mutex); - return retval; + + return simple_read_from_buffer(buffer, count, ppos, in_buffer, len); } static ssize_t yurex_write(struct file *file, const char __user *user_buffer,
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 1
2018年10月22日から10月25日のCSS(Computer Security Symposium)2018で、「OSSセキュリティ技術ワークショップ(OWS) 2018特別セッション」 と題しまして、OSSセキュリティ技術の会後援で特別セッションを開催します。
https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。
セミナー情報 2
2018年09月20日に、「情シス必見!手間なく使えるOffice365向けセキュリティ対策」と題しまして、Office365を含むクラウドセキュリティのセミナーを開催します。
https://sios.secure.force.com/webform/SeminarDetail?id=701100000012QnSAAUにプログラム内容と申し込みページがありますので、是非御確認下さい。