こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
12/05/2018にLinux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2018-19854)が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/commit/?id=f43f39958beb206b53292801e216d9b8a660f087
https://mirrors.edge.kernel.org/pub/linux/kernel/v4.x/ChangeLog-4.19.3
Priority
- CVE-2018-19854
Moderate
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 4
- Vector: AV:L/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N
- Red Hat Customer Potal
- NVD
- SuSE
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-19854
- ローカルプログラムへのメモリ情報の漏洩の可能性
- 重要度 – Moderate
- 4.19.3までのLinux Kernelに問題が見つかりました。crypto/crypto_user.c中のcrypto_report_one()と関係する関数では、ユーザ空間にコピーされた構造体を完全には初期化していなかった(strncpyからstrlcpyに変更した際に発生した)ため、ユーザプログラムに重要なメモリ情報の漏洩を引き起こす可能性が有ります。注意: この脆弱性はCVE-2013-2547のレグレッションですが、攻撃者がケーパビリティを必要としないため、より悪用しやすいです(しかしながら、その場合システムはCONFIG_CRYPTO_USERオプションが有効になっていなければなりません)。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-19854.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報
2019/01/09 18:30-20:30で、「OSSライセンスMeetup Vol.1」を行います。
今回は技術評論社刊「OSSライセンスの教科書」著者・上田さんを迎えて刊行に至った理由・本著に込めた思い・見どころなどを語っていただき、後半ではテクニカルライター可知豊さんと共に上田さんと本書についてのディスカッションを行います。
https://sios.connpass.com/event/104422/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。