こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
10/28/2021にLinux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2021-43057)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性(Medium/Moderate: CVE-2021-42327)
Linux Kernelの脆弱性(Medium/Moderate: CVE-2021-42739)
Linux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2021-42252)
Linux Kernelの脆弱性(CVE-2021-41864)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3653)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-20317)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2021-43057 | Linux Kernel < 5.14.8 | Issue 2229: Linux: UAF read in SELinux handler for PTRACE_TRACEME |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-43057
- Use After Freeによるメモリ破壊または特権昇格の可能性
- 5.14.8までのLinux Kernelで、PTRACE_TRACEMEのSELinuxハンドラであるselinux_ptrace_traceme()にUse After Freeの問題が見つかりました。バグはcommit eb1231f73c4d7 (“selinux: clarify task subjective and objective credentials”)で入ってしまったようです。これによりメモリ破壊または特権昇格の可能性があります。
こちらはtask_struct構造体のメンバで、セキュリティ関連でも使われる”cred”メンバが”__rcu”注釈を持っていたにもかかわらず、実際にはaccess_override_creds()にかかれているようなRCU(リード・コピー・アップデート)による排他制御で保護されていなかったためです。
- 似たような問題がCVE-2019-13272でptrace_linkの保護の欠陥で過去に発生しています。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、Linux セキュリティ対策最新ガイドが執筆・販売されています。
日々のメモを更新しています。
セキュリティ関係ニュースを更新しています。個別で情報出せるようになる前の簡単な情報・リンクなんかも載せていきます。
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