こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/06/2019にkubernetesの複数の脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-11247, CVE-2019-11249)が公開されています。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
2019/08/07更新:Red Hat/Ubuntuの情報を追加しました。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Priority
- CVE-2019-11247
- CVSS v3 Base Score: 5.0 (Medium)
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:L/I:L/A:L
- CVE-2019-11249
- CVSS v3 Base Score: 4.8 (Medium)
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:L/UI:R/S:U/C:N/I:H/A:N
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- CVE-2019-11247: API server allows access to custom resources via wrong scope #80983
- APIサーバによるカスタムリソースへの誤ったスコープを通じたアクセスの許可
- 重要度 – Moderate
- 問題のあるバージョン:1.7.x-1.12.x, 1.13.0-1.13.8, 1.14.0-1.14.4, 1.15.0-1.15.1
- 修正バージョン:1.13.9, 1.14.5, 1.15.2
- リソースが名前空間であるかのようにアクセスを行われた場合、APIサーバが誤ってクラスタスコープのカスタムリソースへのアクセスを許可します。この方法によるリソースへのアクセスの承認は、ロールとネームスペースに結び付けられたロールにより強制されるため、一つのネームスペースのリソースに対して作成の権限が与えられているユーザは、クラスタスコープのリソースに対して参照、更新、削除等が出来るようになります(ネームスペースのロール権限に依存します)。
- CVE-2019-11249: Incomplete fixes for CVE-2019-1002101 and CVE-2019-11246, kubectl cp potential directory traversal #80984
- kubectl cpによるディレクトリトラバーサルの可能性
- 重要度 – Moderate
- 問題のあるバージョン:1.0.x-1.12.x, 1.13.0-1.13.8, 1.14.0-1.14.4, 1.15.0-1.15.1
- 修正バージョン:1.13.9, 1.14.5, 1.15.2
- CVE-2019-1002101, CVE-2019-11246での修正が不完全であったため、kubctl cpコマンドにディレクトリトラバーサルの問題が存在します。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-11247.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-11249.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、サービスの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
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こちらですが、OSSセキュリティ技術の会も後援になっております。
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https://www.iwsec.org/css/2019/cfp.html