こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
こちらでは主にOSSの脆弱性を取り上げていきます。10/15/2018にlibsshの脆弱性情報(Important: CVE-2018-10933)が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
(注)こちらはlibsshをサーバとして用いている場合の脆弱性です。そのため、通常の「OpenSSH」を用いている場合には、影響を受けません。
10/22 注釈でOpenSSHが関係ないことを明記。CVSS(Red Hat社)を追加。PoCを追加。
10/25 Cisco製品の情報を追加。
Priority
- CVE-2018-10933
Important
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 9.1
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:N
- NVD
- Red Hat Customer Potal
PoC
- 脆弱性のあるバージョンのlibsshを展開し、コンパイルします(gmake、及びOpenSSL等のライブラリが必要)。
- examples/samplesshd-cbを使います。一般ユーザで2222ポートで起動してみます。id_dsa、id_rsaのパスワードが必要です。
[sios@cent7enc examples]$ pwd /home/sios/CVE-2018-10933-libssh/work/examples [sios@cent7enc examples]$ ./samplesshd-cb 127.0.0.1 -p 2222 -d ~/.ssh/id_dsa -r ~/.ssh/id_rsa Enter PEM pass phrase: Enter PEM pass phrase:
- 外部からPython+Paramikoで作成したツールでログインを試みます。(安全のため、こちらでは紹介しません。詳しくは、https://www.exploit-db.com/等、公開されているexploitを参照してください。)。
- サーバの方に、以下のメッセージが出て、認証を迂回してシェルがアロケートされる所まで行ったことがわかる。
Allocated session channel Allocated shell Error : Socket error: disconnected
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://www.libssh.org/2018/10/16/libssh-0-8-4-and-0-7-6-security-and-bugfix-release/
- サーバコードでの認証バイパスの可能性
- 重要度 – Important
- 0.6以上のlibsshではサーバコードの中に認証バイパスの脆弱性があります。SSH2_MSG_USERAUTH_SUCCESSをSSH2_MSG_USERAUTH_REQUESTの代わりにサーバに対して提示することで、攻撃者は資格情報無しで認証できます。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-10933 - Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-10933 - Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10933.html - SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-10933.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。
また、サービスの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セミナー情報 1
2018年10月22日から10月25日のCSS(Computer Security Symposium)2018で、「OSSセキュリティ技術ワークショップ(OWS) 2018特別セッション」 と題しまして、OSSセキュリティ技術の会後援で特別セッションを開催します。
https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。
セミナー情報 2
2018/11/05 19:00に、「2018年秋のBPFまつり」と題しまして、OSSセキュリティ技術の会 第四回勉強会を行います。
今回のテーマはBPF(Berkeley Packet Filter)になります。
https://secureoss-sig.connpass.com/event/103763/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。
セミナー情報 3
2018/11/14 17:00に、「NGINX MeetUp Tokyo #1」を行います。
今回はNGINX .conf 2018 現地参加者より最新情報を共有させて頂きます。
https://nginx-mj.connpass.com/event/103617/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。