こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
06/25/2019にFrom IP ID to Device ID and KASLR Bypass (Extended Version)という論文で、Windows/Linux Kernel/Androidの脆弱性の情報(Medium: CVE-2019-9836, CVE-2019-10638, CVE-2019-10639)が出ています。今後も色々情報が出てくると思いますので、念の為ここでも取り上げます。
逐次情報は更新していく予定です。
2018/07/16 18:00更新: Red Hatの情報、Ubuntuの情報を追加しました。
[過去の記事(最新5件)]
AMD SEV機能の問題 (CVE-2019-9836)とFirmwareのアップデート
新たな攻撃手法(SMoTherSpectre) による情報の漏洩
Priority/CVSS
- CVE-2019-9836 (Windows)
Medium
- NVD
- CVSS v3 Base Score: 5.3 Medium
- Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N
- CVSS v2 Base Score: 5.0 Medium
- Vector: (AV:N/AC:L/Au:N/C:P/I:N/A:N)
- NVD
- CVE-2019-10638 (Linux)
Medium
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 5.3
- Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 5.9
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:N
- NVD
- SuSE
- CVE-2019-10639 (Linux)
Medium
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 5.3
- Vector: AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 5.9
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:N
- NVD
- SuSE
関連情報
SW提供情報
HW提供情報
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
脆弱性概要(詳細は一次情報源のサイトをご確認ください)
- https://portal.msrc.microsoft.com/ja-JP/security-guidance/advisory/CVE-2019-0688(MS社説明)
- CVE-2019-0688 | Windows TCP/IP の情報漏えいの脆弱性
- Windows TCP/IP スタックが断片化された IP パケットを適切に処理しない場合に情報漏えいの脆弱性が存在します。攻撃者がこの脆弱性を悪用した場合、ユーザーのコンピューターをさらに侵害する情報を取得する可能性があります。
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-10638
- ハッシュ値取得の可能性
- 影響するバージョン:5.1.7より前のLinux Kernel
- 5.1.7より前のLinux Kernelでは、コネクションレスプロトコル(UDPやICMP等)に対してKernelが生成したIP ID値を使用することで、攻撃者がデバイスを追跡することが出来ます。そのようなトラフィックが複数の宛先IPアドレスに送られると、ハッシュ衝突を取得することが出来、列挙によってハッシュキーを取得することが出来ます。攻撃はWebRTCやgQUICを利用してUDPトラフィックを、攻撃差が制御できるIPアドレスに強制するような細工されたWebページをホスティングすることで行われる可能性が有ります。
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-10639
- 情報漏えいの可能性
- 影響するバージョン:5.0.8より前と(4.1から始まる)4.xのLinux Kernel
- 5.0.8より前と(4.1から始まる)4.xのLinux Kernelでは、KASLRをバイパスして部分的にアドレスを漏洩してしまう、情報漏えいの問題があります。具体的には(UDPやICMP等の)コネクションレスプロトコルを提供するKernelのIP ID値を使用して、KASLRのkernel image offsetを抽出することが可能です。
そのようなトラフィックが複数の宛先IPアドレスに送られると、ハッシュ衝突を取得することが出来、列挙によってハッシュキーを取得することが出来ます。このキーは、(静的変数を)カーネルアドレスから充分なビット数を含んでいるため、(列挙によって)キーが抽出されると、kernel image offsetが晒されます。
主なディストリビューションの対応状況
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-10638.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-10639.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各HWのサイトからファームウェアのアップデートを行いましょう。
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、システムの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
From IP ID to Device ID and KASLR Bypass (Extended Version)
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
Keycloakの初のコミュニティイベント「Keyconf19」がイギリスにて開催され、日本からも日立の乗松さんが参加・発表され、メンテナとコアな議論をしてきたので、2019/07/19(金) 18:45 〜 20:00 に『OSSセキュリティ技術の会 Keycloakミニ勉強会(副題:Keyconf19で日英クロスボンバーの巻)』と題してkeyconf19の報告会+αを開催することになりました。
Keycloakメンテナからのお土産のステッカーも人数限定であります!
https://secureoss-sig.connpass.com/event/136512/にて申し込みを行っております。奮ってご参加ください。
セミナー情報2
2019/07/31 10:00-17:00で開催される、一般社団法人 日本情報システム・ユーザ協会(JUAS)様による有料ハンズオンセミナー「ハンズオンで学ぶ!クラウド時代の運用管理とセキュリティ対策 」にて当ブログの筆者「面 和毅」が講師を努めます。
本セミナーでは、大手ベンダーや外資系企業、ユーザー企業などでセキュリティの専門家として20年以上の経験を持ち、現在、セキュリティエバンジェリストとして活躍する講師が実体験を交えながら、クラウド上のサーバーを安価に守る方法を、演習をまじえ、具体的にお伝えします。
https://juasseminar.jp/seminars/view/4119290にて申し込みを行っております。奮ってご参加ください。
セミナー情報3
2019/07/23 18:30-20:30で、「再演「やってはイケナイ」をやってみよう」セミナーを行います。
このセミナーは前回の「「やってはイケナイ」をやってみよう」セミナーの再演で、実際に色々な「やってはイケナイ」をデモを交えて行い、実際にどのような問題が発生するのかを確認し、その様な万が一の場合を防ぐために行っておくべき対策を紹介していきます。
https://sios.connpass.com/event/134622/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。