こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
こちらでは主にOSSの脆弱性を取り上げていきます。09/11/2018にOpenAFSに複数の脆弱性情報(OPENAFS-SA-2018-001 : CVE-2018-16947, OPENAFS-SA-2018-002 : CVE-2018-16948, OPENAFS-SA-2018-003 : CVE-2018-16949)が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
Priority
Importacnt/Moderate
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- OPENAFS-SA-2018-001(CVE-2018-16947)
- 認証されていないバックアップテープコントローラプロセス(butc)への接続によるボリュームレベルのデータの置き換えの可能性
- 重要度 – High
- 影響範囲 : OpenAFS butc server versions 1.0 through 1.6.22.4, 1.8.0 through 1.8.1.1
- バックアップテープコントローラプロセス(butc)はRPC接続を許可していますが、それらのRPCに対して認証が必要ではありませんでした。ボリュームコンテンツのdump/resotreやbackupデータベースへの手動の操作を含むRPC操作はadministrator権限によって実行されます。
- OPENAFS-SA-2018-002(CVE-2018-16948)
- RPCの出力値が初期化されないことによる情報漏えいの可能性
- 重要度 – Medium
- 影響範囲 : OpenAFS client versions 1.0 through 1.6.22.4, 1.8.0 through 1.8.1.1 ; OpenAFS server versions 1.0 through 1.6.22.4, 1.8.0 through 1.8.1.1
- 幾つかのRPCサーバーのルーチンでは出力した値(スタックとヒープ双方へのメモリコンテンツ)を完全には初期化していませんでした。AFSCVサービスに対するRxサーバとしてのOpenAFSマネージャーをキャッシュする機能があるため、クライアントの情報も同様に漏えいする可能性が有ります。
- OPENAFS-SA-2018-003(CVE-2018-16949)
- リソースの過剰な消費によるDoSの可能性
- 重要度 – Medium
- 影響範囲 : OpenAFS server versions 1.0 through 1.6.22.4, 1.8.0 through 1.8.1.1
- RPCへの入力値として使われる幾つかのデータはunbounded array タイプとして実装され、固有の32ビット長フィールドのみが4GBに制限されていました。認証されていない攻撃者は、これを悪用して、大きな値を送信することが出来るため、それらの入力を待っているサーバ上のリソースを消費する事でDoSを引き起こす事が出来る可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-16947
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-16947
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-16947.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-16948.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-16949.html
- SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-16947.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 1
2018年10月22日から10月25日のCSS(Computer Security Symposium)2018で、「OSSセキュリティ技術ワークショップ(OWS) 2018特別セッション」 と題しまして、OSSセキュリティ技術の会後援で特別セッションを開催します。
https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。
セミナー情報 2
2018年10月04日に、「OSSの長期利用とメンテナンス 」と題しまして、やまね氏によるセミナーが開催されます。
https://sios.connpass.com/event/100751/にプログラム内容と申し込みページがありますので、是非御確認下さい。