PHPに複数の脆弱性(CVE-2017-11142, CVE-2017-11143, CVE-2017-11144, CVE-2017-11145, CVE-2017-11146, CVE-2017-11147, CVE-2016-10397)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
07/10/2017にphpの複数の脆弱性情報(CVE-2017-11142, CVE-2017-11143, CVE-2017-11144, CVE-2017-11145, CVE-2017-11146, CVE-2017-11147, CVE-2016-10397)が公開されました。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11142
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11143
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11144
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11145
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11146
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11147
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2016-10397
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11142
悪意のあるリモートの攻撃者によるDoSの可能性
5.6.31までのPHP5.6系と、7.0.17より前のPHP7.0系、7.1.3までのPHP7.1系では、main/php_variables.cの問題により、長いフォーム変数を挿入することによりCPU消費に依るDoSを引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11143
攻撃者によるPHPインタープリタのクラッシュの可能性
5.6.31までのPHP5.6系では、ext/wddx/wddx/cの問題により、WDDX(Web Distributed Data eXchange)機構のブーリアンパラメータの無効なフリーにより、攻撃者がPHPインタープリタをクラッシュさせることが出来ます。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11144
攻撃者によるPHPインタープリタのクラッシュの可能性
5.6.31までのPHP5.6系と、7.0.21より前のPHP7.0系、7.1.7までのPHP7.1系では、ext/openssl/openssl.cの問題により、openssl拡張によるPEM暗号化コードを、OpenSSL暗号関数の返り値によってチェックしていないため、攻撃者がPHPインタープリタをクラッシュさせることが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11145
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11146
攻撃者によるPHPインタープリタを利用した漏洩の可能性
5.6.31までのPHP5.6系と、7.0.21より前のPHP7.0系、7.1.7までのPHP7.1系では、ext/date/lib/parse_date.cの問題により、date拡張のtimelib_meridianによるコードのパースの境界値チェック不足を利用して、攻撃者がインタプリタから情報を引き出すことが可能です。
CVE-2017-11145による修正が不完全だったため、CVE-2017-11146がアサインされています。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2016-10397
攻撃者によるPHPインタープリタのクラッシュの可能性
5.6.28までのPHP5.6系と、7.0.13より前のPHP7.x系では、ext/standard/url.cの問題により、攻撃者がURLパーサ中のURIコンポーネントを利用して、ホスト名指定のURLチェックを迂回することが可能です。
チェックをmain/php_variables.cの問題により、長いフォーム変数を挿入することによりCPU消費に依るDoSを引き起こすことが可能です。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-11142
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-11143
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-11144
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-11142.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-11143.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-11144.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-11145.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-11146.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-11147.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2016/CVE-2016-10397.html
SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-11142.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-11143.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-11144.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-11145.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2017-11146.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、サービスの再起動が発生する場合には、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11142
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11143
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11144
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11145
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11146
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-11147
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2016-10397
講演内容募集案内
2017年10月21日-22日まで開催されるopenSUSE.Asia Summit 2017 Tokyoの講演内容募集(CFP)が始まりました。
https://news.opensuse.org/2017/07/07/opensuse-asia-summit-2017-tokyo-call-for-proposals-is-open/
講演募集の締切は8/14(月)で、日本語でも講演は可能です。
セキュリティに関してのトピックは
FLOSS Security
Access/Integrity control (e.g., AppArmor, IMA, Audit)
Cryptography
Vulnerability management
となってます。御応募を是非お願い致します。
セミナー情報
7/27(水)に「OSSセキュリティナイターvol.6」と題して、セキュリティのセミナーを行います。この回では、『SELinuxの現状とLinuxセキュリティ』と題してSELinuxの最新動向から実際の効果を、デモを交えて説明致します。
今回も、前回に引き続き、ゲスト講師をお招きし講演をいただきます。
https://connpass.com/event/61395/がプログラム内容と申し込みの詳細になりますので、是非お申し込み下さい。