こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/14/2018にSambaの複数の脆弱性情報(CVE-2018-1139, CVE-2018-1140, CVE-2018-10858, CVE-2018-10918, CVE-2018-10919)が公開されました。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-1139.html
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-1140.html
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-10858.html
Priority
Moderate(CVE-2018-1139, CVE-2018-10858, CVE-2018-10918, CVE-2018-10919), Important(CVE-2018-1140)
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-1139
- 弱い認証プロトコルが許可される可能性
- 重要度 – Moderate
- 対象バージョン:Samba 4.7.0 – 4.8.3
- Samba 4.7.0 – 4.8.3ではNTLMv1が明白にサーバで無効にされていてもNTLMv1 over SMB1を用いた認証を許可してしまうエラーを含んでいます。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-1140
- NULLポインタチェックの不備によりSamba AD DC over DNS/LDAPをクラッシュさせてしまう可能性
- 重要度 – Important
- 対象バージョン:4.8.0以降のSambaの全バージョン
- LDBデータベースレイヤへの入力パラメータの幾つかのサニタイズが適切に行われていなかったため、LDAPサーバやDNSサーバをNULLポインタが発生させられることでクラッシュさせてしまいます。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10858
- libsmbclientでリッスンしているクライアントディレクトリの不充分な入力値チェックによるクライアントでのヒープメモリの書き換え
- 重要度 – Moderate
- 対象バージョン:Samba 3.2.0 – 4.8.3
- Samba 3.2.0 – 4.8.3 ではlibsmbclientにエラーがあり、悪意のあるサーバがリスニングしているディレクトリ中で極端に長いファイル名を返すようにすることで、クライアントのヒープメモリを上書きすることが出来ます。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10918
- AD DC DRSUAPIサーバへのDoS
- 重要度 – Moderate
- 対象バージョン:4.7.0以降のSambaの全バージョン
- Samba 4.7.0以降の全てのバージョンでは、SambaがAD Domainコントローラの際に”samba”プロセスをクラッシュさせてDoS状態を引き起こす事ができる脆弱性があります。LDBデータベースレイヤからの返り値のディレクトリ属性の出力チェックに不備があるため、DRSUAPIサーバでDsCrackNamesが呼び出される際にNULLポインタが発生し、クラッシュする可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-10919
- AD LDAPサーバからの重要な属性情報の漏洩の可能性へのDoS
- 重要度 – Moderate
- 対象バージョン:4.0.0以降のSambaの全バージョン
- Samba 4.0.0以降の全てのバージョンでは、AD LDAPサーバで重要な属性値が漏洩する脆弱性があります。SEARCH_FLAG_CONFIDENTIAL (0x80) searchFlags bitと、ntSecurityDescriptorでの明示的に指定されたAccess Control Entryです。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-1139
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-1140
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-10858
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-1139.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-1140.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-10858.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。< /p>
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を参考にして下さい。
また、サービスの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-1139.html
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-1140.html
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-10858.html
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-10918.html
https://www.samba.org/samba/security/CVE-2018-10919.html
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 1
2018年10月22日から10月25日のCSS(Computer Security Symposium)2018で、「OSSセキュリティ技術ワークショップ(OWS) 2018特別セッション」 と題しまして、OSSセキュリティ技術の会後援で特別セッションを開催します。
https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。