こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
05/25/2020にLinux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2020-10711)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2020-12888)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2020-10741)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2020-12768, CVE-2020-12769, CVE-2020-12770, CVE-2020-12771)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2020-12464, CVE-2020-12465)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2020-11565, CVE-2020-11609, CVE-2020-11668, CVE-2020-11669)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2020-10711 | Linux kernel < 5.7 | CVE-2020-10711 Kernel: NetLabel: null pointer dereference while receiving CIPSO packet with null category | RedHat: 5.9 Important | RedHat: CVSS:3.1/AV:N/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-10711
- リモートからのDoS(システムクラッシュ)の可能性
- Linux KernelのSELinuxサブシステム中にNULLポインタ被参照の問題が見つかりました。この問題はCommercial IP Security Option(CIPSO)プロトコルのカテゴリビットマップがSELinuxの拡張ビットマップに’ebitmap_netlbl_import’ルーチンを使用してインポートする際に発生します。’cipso_v4_parsetag_rbm’ルーチンでCIPSO制限ビットマップタグを処理する際に、セキュリティアトリビュートを、たとえあろけーとされていなかった状態でも、以前のカテゴリビットマップが示すものにセットします。この問題はSELinuxに同じカテゴリビットマップをインポートする際にNULLポインタ被参照を引き起こします。この問題はリモートのネットワークユーザにシステムのkernelをクラッシュさせることを許可するため、DoSに繋がります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2020/CVE-2020-10711.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
02/26/2020の開催が中止となってしまいましたOSSセキュリティ技術の会ですが、この度、ウェビナーで開催することになりました。OSSセキュリティ技術の会のウェビナー開催は初の試みで当日バタつくこともあるかもしれませんがどうぞよろしくお願いいたします。
Keycloakも段々と適用範囲が広がってきています。Keycloakとも連携できる新たな認証関連OSS「midPoint」が日本で紹介されてきています。今回は、KeycloakやmidPointをテーマとし、『OSSセキュリティ技術の会 第八回勉強会』と題して勉強会を開催することになりました。
さらに、Red Hat系のディープな技術者が集まるカンファレンスであるdevconf.czが1月末に開催され、最新のコンテナセキュリティからKeycloakまでセキュリティに関するトピックも扱われました。devconf.czに参加・講演して得られた情報の共有もいたします。
今回はzoomを利用してウェビナーを開催予定です。 開始直前にメールにて会議IDとパスワードを事前登録した方のみにメールで(connpassからのメールになると思います)連絡いたします。申込みは下記まで御願い致します。