こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
01/05/2021にLinux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2020-36158)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelに複数の脆弱性(Moderate: CVE-2020-29660, CVE-2020-29661)
Linux Kernelに権限昇格の脆弱性(Moderate: CVE-2020-29534)
Linux Kernelに権限昇格の脆弱性(Moderate: CVE-2020-14351)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-27786)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-25704)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-25656)
Linux KernelにDoSの脆弱性(Moderate: CVE-2020-28941)
Linux Kernel (Red Hatのみ) のBluetoothでDoSまたは任意のコード実行の脆弱性(Important: CVE-2020-25661, CVE-2020-25662)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2020-36158 | Linux Kernel <= 5.10.4 | [PATCH 1/1] mwifiex: Fix possible buffer overflows in mwifiex_cmd_802_11_ad_hoc_start | NVD: High | NVD: CVSS:3.1/AV:A/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-36158
- DoSまたは任意のコード実行の可能性
- 5.10.4迄のLinux Kernelでは、drivers/net/wireless/marvell/mwifiex/join.c中でmwifiex_cmd_802_11_ad_hoc_start()がmemcpy()をコピー先のサイズをチェックせずに使用しているためバッファーオーバーフローの原因となり、ローカルユーザがDoSを引き起こしたり任意のコードを実行することができる可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2020/CVE-2020-36158.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。