こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/16/2018に国際暗号学会(IACR)の論文で“Pseudo Constant Time Implementations of TLS Are Only Pseudo Secure”という内容の論文が公開されました。これによると、複数のTLS実装で、過去のLucky 13攻撃に対しての修正にバグがあり、Lucky 13と同様の手法により平文を回復させることが可能になるという事です。それに伴い、複数のTLS実装で脆弱性情報の公開と修正情報が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
情報が未だ錯綜していますので、逐次情報は更新していく予定です。
一次情報源
Pseudo Constant Time Implementations of TLS Are Only Pseudo Secure
(PDFバージョン) Pseudo Constant Time Implementations of TLS Are Only Pseudo Secure
Priority
Medium/Moderate
SW提供情報
- wolfSSL
- mbedTLS
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
脆弱性概要(詳細は一次情報源のサイトをご確認ください)
- Pseudo Constant Time Implementations of TLS Are Only Pseudo Secure
- 複数のTLS実装でLucky 13攻撃に対する修正のバグによる復号化の可能性
複数のTLS実装上で、過去にLucky 13攻撃への対応作として取られた修正に問題があり、同様の手法により平文へ復元ができる可能性が有ります。
影響する暗号化ライブラリ
以下のライブラリに影響が出るようです。詳細は一次情報源を確認ください。
Amazon s2n, wolfSSL, mbed TLS(CVE-2018-0497), GnuTLS(CVE-2018-10844, CVE-2018-10845, CVE-2018-10846)
主なディストリビューションの対応状況
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- mbed TLS
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-0497.html
- GnuTLS
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10844.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10845.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2018/CVE-2018-10846.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、サービスの再起動が発生する場合には、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
Pseudo Constant Time Implementations of TLS Are Only Pseudo Secure
(PDFバージョン) Pseudo Constant Time Implementations of TLS Are Only Pseudo Secure
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
セミナー情報 1
2018年10月22日から10月25日のCSS(Computer Security Symposium)2018で、「OSSセキュリティ技術ワークショップ(OWS) 2018特別セッション」 と題しまして、OSSセキュリティ技術の会後援で特別セッションを開催します。
https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。