こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
02/18/2019にLinux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-7221, Low: CVE-2019-7222)が公開されていました。遅くなりましたが、今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-9213)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-9162)
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-9003)
Priority
- CVE-2019-7221
Important
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 7.5
- Vector: AV:L/AC:H/PR:H/UI:N/S:C/C:H/I:H/A:H
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 7.5
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:H/PR:H/UI:N/S:C/C:H/I:H/A:H
- NVD
- SuSE
- CVE-2019-7222
Low
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 2.8
- Vector: AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:C/C:L/I:N/A:N
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 2.8
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:C/C:L/I:N/A:N
- NVD
- SuSE
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-7221
- hrtimerのuse-after-freeを利用したDoS(Kernelクラッシュ)
- 重要度 – Important
- ネスト仮想化が有効(nested=1)になっているときに、L2ゲスト用のプリエンプションタイマーをLinux KernelのKVMハイパーバイザーがエミュレーションする方法で、use-after-freeの脆弱性が見つかりました。今回問題があった高精度タイマ(hrtimer)はL2ゲストがアクティブになっているときに実行されます。VMがexitした後、sync_vmcs12()タイマーオブジェクトは停止させられます。タイマーオブジェクトがsync_vmcs12()ルーチンを呼び出す前にフリーにされた際に、use-after-freeが発生します。ゲストユーザ/プロセスはこの脆弱性を利用してホストのカーネルをクラッシュさせてDoSを引き起こすことが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-7222
- 初期化されていないスタックのゲストへの漏洩
- 重要度 – Low
- メモリアドレスをオペランドとして持つVMXON, VMCLEAR, VMPTRLD, VMWRITEがエミュレートされているときに、Linux KernelのKVMがページフォルトを扱う際に情報の漏洩が発生する可能性があることがわかり混した。ゲストユーザ/プロセスはこれを利用して、ホストのスタックメモリをゲストに漏洩させることが出来ます。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。