こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面です。
こちらでは主にOSSの脆弱性を取り上げていきます。09/20/2018(JTC)に、BINDに関しての脆弱性情報 ( CVE-2018-5741 )が出ています。今回は、こちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
BIND 9 Security Vulnerability Matrix
CVE番号 | 影響するバージョン | プライオリティ | 攻撃 | ||
---|---|---|---|---|---|
CVE-2018-5741 | 9.11.5/9.12.3を含む、それ以前のバージョンでkrb5-subdomainとms-subdomainのアップデートポリシーを含むもの。しかし全てのバージョンで、誤解を招くような表現はドキュメントには記載されていません。 | Medium | リモート(攻撃者がサーバのその他のレコードのmodify権限を持っている場合) | CVSS Score: 6.5 | CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:N/I:H/A:N |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- CVE-2018-5741
- ドキュメントの不正確さにより、意図しない範囲でのアップデートポリシーの制限適用
- 重要度:Medium
- BINDではDynamic DNS(DDNS)を使用してゾーン内のレコードを更新する機能を細かく制御するために、update-policyという機能を提供しています。更新要求を送る際に使用されるキーに応じて、クライアントが実行できる更新の種類を様々なルールで制限できます。残念なことに、いくつかのルールタイプは最初にドキュメント化されていなかったため、管理参照マニュアル(ARM)が変更された#3112において、krb5-subdomainとms-subdomainが追加された際に不正確なドキュメントになっていました。この不正確なドキュメントは、オペレーターが設定したポリシーが実際のものよりも更に制限されていると勘違いさせる可能性が有ります。
krb5-subdomainとms-subdomainアップデートポリシールールタイプでは、IDフィールドに指定したREALMにより有効で認証されたKerberosまたはWindowsマシンクライアントからの更新を許可し、ネームフィールドに指定された名前以下のゾーンのレコードを修正知ることを許可します。しかし、間違った文書では、WindowsまたはKerberosプリンシパルでエンコードされたマシン名以下にアップデートポリシーが制限されるように読めてしまいます。
例えば、named.conf内に”example.com”ゾーンの構成として以下のものが含まれているとしましょう。
zone example.com { ... update-policy { grant SUB.EXAMPLE.COM krb5-subdomain . ANY; }; };
この時、クライアントはKerberosマシンプリンシパルとしてhost/machine.sub.example.com@SUB.EXAMPLE.COMを処理し、”exaple.com”以下のレコードのアップデートを許可しますが、間違ったドキュメントによると”machine.sub.example.com”以下のレコードのアップデートポリシーのみを許可するように読めてしまいます。ms-subdomainに対しても同様です。
回避方法
ゾーンサブネットの更新を制限してください。例えば、”example.com”の下に”sub.example.com”のチャイルドゾーンを作成し、親ではなくチャイルドゾーンの”sub.example.com”に目的のアップデートポリシーを設定してください。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を参考にして下さい。
また、サービスの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セミナー情報 1
2018年10月22日から10月25日のCSS(Computer Security Symposium)2018で、「OSSセキュリティ技術ワークショップ(OWS) 2018特別セッション」 と題しまして、OSSセキュリティ技術の会後援で特別セッションを開催します。
https://www.iwsec.org/ows/2018/index.htmlにプログラム内容と一般論文申し込みの詳細を載せていきますので、是非御確認下さい(ページは更新中です)。
セミナー情報 2
2018年10月04日に、「OSSの長期利用とメンテナンス 」と題しまして、やまね氏によるセミナーが開催されます。
https://sios.connpass.com/event/100751/にプログラム内容と申し込みページがありますので、是非御確認下さい。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。