5/15更新:Apple Mailでの例(Youtube)をリンクに加えました。メールクライアントは数が多いので一次情報源を確認してください。
5/15更新:元になった論文(PDF)を加えました。メールクライアントへのリンクとしてCERTを追加しました。
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
05/14/2018に”EFAIL”というend-to-endでのメール暗号化に関する一連の脆弱性情報( CVE-2017-17688: OpenPGP CFB gadget attacks , CVE-2017-17689: S/MIME CBC gadget attacks )が出ています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
暗号化を用いる全てのメールクライアントに関わってくる脆弱性のため、情報は流動的です。情報は逐次更新します。
一次情報源
Efail: Breaking S/MIME and OpenPGP Email Encryption using Exfiltration Channels (draft 0.9.0) (PDF)
その他情報
https://de.wikipedia.org/wiki/Efail(ドイツ語のWiki)
No, PGP is not broken, not even with the Efail vulnerabilities(ProtonMail)
脆弱性概要
EFAILはOpenPGPやS/MIMEによりend-to-endで暗号化されたemailから平文が洩れるという脆弱性になります。
EFAILは外部から読み込まれた画像やスタイル等のHTMLメールのアクティブコンテンツを悪用して、要求されたURLを通じて平文を流出させます。攻撃者はまず、ネットワークトラフィックを盗聴したり、暗号化されたメールをサーバやクライアント等を侵害してアクセスする必要があります。
攻撃者は暗号化されたメールを特定の方法で変更し、変更した暗号化されたメールを攻撃対象に送信します。攻撃対象のメールクライアントは、メールを復号化して外部のコンテンツをロードし、平文を攻撃者に流出させます。
攻撃方法
この攻撃方法には2種類あります。
Direct Exfiltration(直接攻撃)
Direct Exfiltration(直接攻撃)では、Apple Mail, iOS Mail, Mozilla Thunderbirdの脆弱性を悪用して、暗号化されたメールの平文を直接抽出します。これらの脆弱性は、それぞれのメールクライアントに存在します。攻撃の詳しい方法は一次情報源(https://efail.de)に手順が載っています。
The CBC/CFB Gadget Attack(CBC/CFBガジェット攻撃)
CBC/CFBガジェット攻撃は、OpenPGPとS/MIMEの仕様の脆弱性を乱用してプレーンテキストを流出させるものになります。こちらも、S/MIMEでの攻撃の詳細な説明が一次情報源(https://efail.de)に手順が載っています。
関連するCVE
CVE-2017-17688: OpenPGP CFB gadget attacks
CVE-2017-17689: S/MIME CBC gadget attacks
対象となるメールクライアント
多くのメールクライアントが対象になっています。詳しくは一次情報源を確認してください。
こちら(https://www.kb.cert.org/vuls/id/122919)の方がメール一覧が見やすいです。
例
Apple Mailでのデモ(Youtube)
各ディストリビューションの情報を確認してください。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
[参考]
セキュリティ系連載案内
OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2017のレポートが紹介されています。
OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。