Linux Kernelに複数の脆弱性(CVE-2017-1000111, CVE-2017-1000112)
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/10/2017にLinux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2017-1000111, CVE-2017-1000112)が公開されています。Importantの脆弱性ですので、今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
一次情報源
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-1000111
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-1000112
Priority
Important
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-1000111
ローカルユーザによる権限昇格の可能性
重要度 – Important
Linux Kernel での rawパケットソケットの実装に問題があり、競合状態を引き起こしてuse-after-freeの脆弱性を引き起こされることが見つかりました。これを利用して、ローカルユーザはrawパケットソケット(CAP_NET_RAWケーパビリティが必要)をopenすることが可能になり、これによりシステム上で権限を昇格される可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-1000112
メモリ破損の可能性
重要度 – Important
MSG_MOREのUFO (UDP Fragmentation Offload) パケットを作成する際に__ip_append_data()呼び出しがip_ufo_append_data()をappendするために呼び出します。しかしながら、二つのsend()が呼び出されることにより、appendパスがUFO/non-UFOの間で切り替わるため、メモリ破損が発生する可能性が有ります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-1000111
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-1000112
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-1000111.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2017/CVE-2017-1000112.html
SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-1000111
http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2017-1000112
セミナー情報
9/9(土)の11:00から、明星大学 日野キャンパス(多摩モノレール 「中央大学・明星大学駅」から大学まで直結。会場まで徒歩6分)にて開催されるオープンソースカンファレンス2017 Tokyo/Fallで、本ブログ執筆者の面 和毅が「上半期のOSS脆弱性総括とOSSセキュリティ技術を用いた緩和策」と題した講演を行います。OSCに参加される方、またお近くの方で御時間が有りましたら、是非ご参加下さい。
セキュリティ系連載案内
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