こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
06/22/2018にLinux Kernelの脆弱性情報(CVE-2018-12633 )が公開されています。今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
Priority
Moderate(CVE-2018-12232, CVE-2018-12633)
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-12633
ローカルの非特権ユーザによるDoS(境界外のスラブ (slab) アクセス)
重要度 – Moderate
4.17.2までのLinux Kernelのdrivers/virt/vboxguest/vboxguest_linux.c中のvbg_misc_device_ioctl()関数で、copy_from_userで同じユーザデータを二回読み込んでいるという問題が見つかりました。ユーザデータのヘッダー部分は”ダブルフェッチ”で、悪意のあるユーザがスレッドがヘッダーの重要な値(hdr.size_in と hdr.size_out)を、二回のフェッチで競合状態を引き起こしてやることで、バッファーオーバーアクセスなどのカーネルエラーを引き起こすように改ざんすることが出来ます。これを利用して、ローカルでDoSや情報漏えいを引き起こす事が出来る可能性があります。
m_user.
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2018-12633
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