こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
07/28/2019にLinux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-14283, CVE-2019-14284)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-13272)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-13233)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-12983, CVE-2019-12984)
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-3896)
Priority
- CVE-2019-14283
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 5.6(Moderate)
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:L/UI:R/S:U/C:L/I:N/A:H
- NVD
- CVSS v3 Base Score: 6.8 Medium
- Vector: AV:P/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H
- CVSS v2 Base Score: 4.6 Medium
- Vector: (AV:L/AC:L/Au:N/C:P/I:P/A:P)
- SuSE
- CVE-2019-14284
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 5
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:L/UI:R/S:U/C:N/I:N/A:H
- NVD
- CVSS v3 Base Score: 6.2 Medium
- Vector: AV:L/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H
- CVSS v2 Base Score: 2.1 Low
- Vector: (AV:L/AC:L/Au:N/C:N/I:N/A:P)
- SuSE
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-14283
- 整数オーバーフローと境界外読み込みの可能性
- 影響する範囲:5.2.3より前のLinux Kernel
- 5.2.3より前のLinux Kernelでは、drivers/block/floppy.c中のset_geometry()でsectとheadのフィールドの確認に問題があり、整数オーバーフローと境界外読み込みを引き起こします。これは非特権のローカルユーザがフロッピーディスクをinsertする際に発生します。注意:QEMUはデフォルトでフロッピーデバイスを作成します
- DoSの可能性
- 影響する範囲:5.2.3より前のLinux Kernel
- 5.2.3より前のLinux Kernelでは、drivers/block/floppy.c中でsetup_format_paramsのゼロ除算によるDoSが発生します。2つの連続したioctlsがバグを引き起こします:最初にドライブのジオメトリを.sectと.rate値にセットしてF_SECT_PER_TRACKをゼロにします。次に、フロッピーのフォーマットオペレーションを呼び出します。これは非特権のローカルユーザがフロッピーディスクをinsertする際に発生します。注意:QEMUはデフォルトでフロッピーデバイスを作成します
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-14283.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-14284.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
コンピュータセキュリティシンポジウム2019(長崎)が2019年10月21日(月) ~ 10月24日(木)で開催されます。
こちらですが、OSSセキュリティ技術の会も後援になっております。
また、Call For Papersで論文も募集しております。 オープンソースソフトウェア(OSS)セキュリティ技術トラック(略称:OWSトラック) も用意しております。
興味のある方は、是非チャレンジして下さい。
https://www.iwsec.org/css/2019/cfp.html
セミナー情報2
2019/07/31 10:00-17:00で開催される、一般社団法人 日本情報システム・ユーザ協会(JUAS)様による有料ハンズオンセミナー「ハンズオンで学ぶ!クラウド時代の運用管理とセキュリティ対策 」にて当ブログの筆者「面 和毅」が講師を努めます。
本セミナーでは、大手ベンダーや外資系企業、ユーザー企業などでセキュリティの専門家として20年以上の経験を持ち、現在、セキュリティエバンジェリストとして活躍する講師が実体験を交えながら、クラウド上のサーバーを安価に守る方法を、演習をまじえ、具体的にお伝えします。
https://juasseminar.jp/seminars/view/4119290にて申し込みを行っております。奮ってご参加ください。