こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
03/26/2020にLinux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2020-10942)が公開されています。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-1749)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-8647, CVE-2020-8648, CVE-2020-8649)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-8428)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2020-7053)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18282)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2020-10942 | Linux Kernel < 5.5.8 | https://lkml.org/lkml/2020/2/15/125 | RedHat: 7.4 Important SuSE: 5.5 Moderate | RedHat: CVSS:3.1/AV:L/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H SuSE: CVSS:3.1/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-10942
- Kernel Stack Corruptionの問題
- 5.5.8より前のLinux Kernelでは、drivers/vhost/net.c中のget_raw_socketで、sk_familyフィールドの検証に問題がありました。攻撃者はこれを利用して細工されたシステムコールを用いてカーネルのスタック破損(stack-corruption)を引き起こす事ができる可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
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