こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
12/01/2020にLinux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-27786)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-25704)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-25656)
Linux KernelにDoSの脆弱性(Moderate: CVE-2020-28941)
Linux Kernel (Red Hatのみ) のBluetoothでDoSまたは任意のコード実行の脆弱性(Important: CVE-2020-25661, CVE-2020-25662)
Linux Kernelのfbconでslab境界外読み込みの脆弱性(CVE-2020-28974)
Linux Kernelのfbconでのバッファオーバー読み込みの脆弱性(Moderate: CVE-2020-28915)
Linux Kernelのvt(virtual console)での脆弱性情報(Moderate: CVE-2020-25668)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2020-27786 | Linux Kernel <= 5.7 | Linux Kernel: ALSA: use-after-free Write in snd_rawmidi_kernel_write1 | Red Hat: 7.8 Moderate | Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-27786
- use-after-freeの問題
- Linux Kernelのraw midi カーネルドライバで同時アクセスをきちんと保護していないため、sound/core/rawmidi.c中のsnd_rawmidi_kernel_read1()とsnd_rawmidi_kernel_write1()にuse-after-freeが発生するという問題が見つかりました。悪意のある攻撃者はこれを利用して権限昇格に利用することができる可能性があります。
迂回方法
midiモジュールは自動的にロードされるようになっているため、モジュールがロードされるのを防ぐために
# echo "install snd-rawmidi /bin/true" >> /etc/modprobe.d/disable-snd-rawmidi.conf
などとして自動でモジュールがロードされないようにしてください。snd-rawmidiモジュールが既にロードされている場合には再起動する必要があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2020/CVE-2020-27786.html
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。