Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3653)

こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。

09/30/2021にLinux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3653)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。



Priority

CVE番号影響するバージョン一次情報源PriorityCVSS Score / CVSS Vector
CVE-2021-3653 Linux Kernel < 5.4-rc1

Bug 1983686 (CVE-2021-3653) – CVE-2021-3653 kernel: SVM nested virtualization issue in KVM (AVIC support)

Red Hat: 8.8 Moderate

Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:C/C:H/I:H/A:H

修正方法

各ディストリビューションの情報を確認してください。

CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)

  • https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-3653
    • DoS/データリークの可能性
    • Linux Kernel中のKVMのAMD用コードで、AMD Secure Virtual Machine: SVMのネストされた仮想化に脆弱性が見つかりました。この脆弱性は、VMCB(Virtual Mahchine Control Block)を処理している際にL1ゲストが更にネストされたゲスト(L2)を操作する際に発生します。”int_ctl”フィールドの確認が不完全だったため、悪意のあるL1ゲストはAVIC(Advanced Virtual Interrupt Controller)をL2ゲストに有効にすることが出来ます。結果として、L2ゲストはホストOSの物理的なページに読み/書きのアクセスが許可され、全てのシステムをクラッシュさせたり、重要なデータのリークやゲストからホストへの脱出につながる可能性があります。
    • Red Hatからの情報:ネストされた仮想化はRed Hat Enterprise Linux 8.4より前はデフォルトで有効になっていません。

緩和方法

下記のようにネストされた仮想化を無効化することで脆弱性を緩和できます。


# modprobe -r kvm_amd
# modprobe kvm_amd nested=0

主なディストリビューションの対応方法

詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください


対処方法

各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。

また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。


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