01/30/2022にLinux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2023-0240, CVE-2023-0266)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について纏めます。
[過去関連リンク(最新5件)]
- Kernel Page Table Isolation(KPTI)下でKALSRを破る脆弱性(EntryBleed: Important: CVE-2022-4543)
- Linux KernelのnfsでリモートDoSの脆弱性(Important: CVE-2022-4379)
- Linux KernelのSYSCTLサブシステムでスタックオーバーフローの脆弱性(Important: CVE-2022-4378)
- Linux Kernelのksmbdの脆弱性(Critical: CVE-2022-47939, CVE-2022-47940, CVE-2022-47942, Moderate: CVE-2022-47938, CVE-2022-47941)
- Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2022-4127, CVE-2022-4128, CVE-2022-4129)
CVSS/プライオリティ
- CVE-2023-0240
- 影響するバージョン
- 5.10 – 5.10.161
- 一時情報源
- Priority
- Red Hat: 7.8 Imporntant
- CVSS Score / CVSS Vector
- Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H
- 影響するバージョン
- CVE-2023-0266
- 影響するバージョン
- >4.14
- Red Hat: 7.8 Imporntant
- Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H
- 影響するバージョン
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2023-0240
- Use-After-Freeによる特権昇格の脆弱性
- io_uringの実装に問題があり、use-after-freeによる特権昇格の可能性があります。io_prep_asunc_work()関数では、最後のio_grab_identityによる呼び出しがfalseを返してこない場合にはtrueで無いと仮定しており、そのケースではinit_credや直前の操作にリンクされたidentityリクエストで現在のidentityを使用していました。これによりuse-after-freeが発生していました。
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2023-0266
- Use-After-Freeによる特権昇格の脆弱性
- Linux Kernel内のALSA PCMパッケージにuse-after-freeの問題が見つかりました。SNDRV_CTL_IOCTL_ELEM_(REDA|WRITE}32ではロックに不備があったためuse-after-freeによるシステムユーザの特権昇格が発生する可能性があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。