こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
03/23/2020にKubernetes の脆弱性情報(CVE-2020-8551, CVE-2020-8552)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Kubernetes(kubectl)の脆弱性情報(Medium: CVE-2019-11251)と新バージョン(v1.16.0 / 1.15.4 / 1.14.7/ 1.13.11)
Kubernetes CSI sidecarの脆弱性情報(Medium/Moderate: CVE-2019-11255)
kube-state-metricsの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-10223)
kubernetesの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-11248)
kubernetesの複数の脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-11247, CVE-2019-11249)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|
CVE-2020-8550 | kubelet v1.17.0 – v1.17.2, v1.16.0 – v1.16.6, v1.15.0 – v1.15.9 | Vendor: Medium | Vendor: CVSS:3.0/AV:A/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:L |
CVE-2020-8550 | kubelet v1.17.0 – v1.17.2, v1.16.0 – v1.16.6, < v1.15.10 | Vendor: Medium | Vendor: CVSS:3.0/AV:N/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:L |
修正方法
- 下記のバージョン以上にアップグレードして下さい。
- v1.17.3
- v1.16.7
- v1.15.10
詳しくは、各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-8551
- APIを通じたKubeletに対するDoSの可能性
- 通常10255ポートで提供される認証されていないHTTPでのread-onlyのAPIや、通常10250ポートで提供される認証されたHTTPSでのAPI等により、kubeletに対してDoSを発生させることができる可能性があります。
- 緩和方法:Kubelet APIに対して制限を掛ける事で、一時的に緩和することが可能です。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2020-8552
- Kubernetes API Serverに対するDoSの可能性
- Kubernetes API Serverに、認可されたAPIリクエストを通じてDoSが発生させられる脆弱性が見つかりました。
- 緩和方法:全てのAPIに対して非認可/非認証制限を掛ける事、またOOMが発生した時にapiserverが自動的に再起動するようにする事で、一時的に緩和することが可能です。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、サービスの再起動が発生する場合には、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。