こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
05/19/2021にruncの脆弱性(Important: CVE-2021-30465)が公開されました(Symlink-Exchange Attack: シンボリックリンク攻撃)。Kubernetesも影響を受けますが、Kubernetesの脆弱性ということではないので注意が必要です。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
2021/05/20 14:00追記:AWS, Ubuntuの情報を追加しました。
2021/05/21 14:00追記:Arch, VMWareの情報を追加しました。
[過去の関連リンク]
SW提供社情報
Red Hat: Symlink-Exchange attack – runc – (CVE-2021-30465)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2021-30465 | runc <=1.0.0-rc94 | CVE-2021-30465: runc <1.0.0-rc95 vulnerable to symlink-exchange attack | Red Hat: 7.8 Important | Red Hat: CVSS:3.1/AV:N/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-30465
- コンテナ脱出が可能になる可能性
- 1.0.0-rc94以前のruncには、シンボリックリンク攻撃により攻撃者が一見無害に見えるコンテナ設定を要求することで、ホストのファイルシステムがコンテナにbind-mountされます(コンテナからの脱出が可能になります)。
攻撃者はカスタマイズされたボリューム設定でコンテナを開始する必要があり、コンテナを堅牢化するために用いられるLSM(AppAromrやSELinux)とユーザネームスペースが攻撃者の出来ることに制限を掛けられますが、攻撃自体を防ぐことは出来ません。Kubernetesを用いて(Kubernetes特有のパスにより)再現させることが出来ますが、これはKubernetes特有の問題ではありません。
- 詳細:
コンテナが起動されていて、runcが(シンボリックリンク攻撃を行っている)別のコンテナと共有されているボリュームにマウントする状況で、runcはマウントのターゲットをTOCTTOU攻撃でコンテナ外部のrootfsをマウントさせることが出来ます(これはlibpathrs[2]で解決に取り組んでいる問題)である以前のTOCTTOU攻撃に似ています。
しかしながら、これは”MS_SLAVE“フラグが”/”に適用されているマウントネームスペース内で発生するため、これだけでは役に立ちません。これを悪用するには、設定ファイルにマウントとされたホストパスのsubpathを後続のマウントソースとして使用できる設定が加えられていなくてはなりません。
ただし、一部のコンテナオーケストレータ(Kubernetesなど)では、追加のボリューム管理インフラストラクチャが存在するため、この攻撃を適用できます。詳しくは、一次情報源を参照してください。
緩和策
Red Hatによると、この問題はSELinuxを有効にしている事で影響の緩和が可能とのことです。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2021/CVE-2021-30465.html
- SUSE/openSUSE
- Arch
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、コンテナサービスの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
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