こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
01/09/2018にQualysからSystem Down: A systemd-journald exploitというsystemdの複数の脆弱性情報(CVE-2018-16864, CVE-2018-16865, CVE-2018-16866)と、それらを組み合わせたExploit(任意のコマンド実行)の情報が公開されましたので、簡単に纏めます。
逐次情報は更新していく予定です。
2019/01/10 14:00: SuSEの情報を追加しました。
2019/01/11 4:00: Red Hatの情報を追加しました。
[関連リンク(最新5件)]
systemdの複数の脆弱性情報(Moderate: CVE-2018-15686, CVE-2018-15687 / Important: CVE-2018-15688)
systemdの脆弱性(CVE-2018-1049) — | サイオスOSS | サイオステクノロジー
systemdの脆弱性(CVE-2017-15908) — | サイオスOSS | サイオステクノロジー
関係するCVEとPriority/CVSS
- CVE-2018-16864
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 7.1
- Vector: AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:N/I:H/A:H
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 7.4
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:H/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H
- SuSE
- CVE-2018-16865
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 3.3
- Vector: AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 7.5
- Vector: CVSS:3.0/AV:N/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H
- SuSE
- CVE-2018-16866
- SuSE
- CVSS v3 Base Score: 5.5
- Vector: AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 4.3
- Vector: CVSS:3.0/AV:A/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:N
gccオプション(-fstack-clash-protection)について
一次情報源にもある通り、SUSE Linux Enterprise 15 / openSUSE Leap 15.0 / Fedora 28 / Fedora 29では、GCCで”-fstack-clash-protection”オプションを加えてコンパイルされているため、今回の脆弱性の対象外です。
また、Debian Bug report logs – #918914
add -fstack-clash-protection to default buildflagsでも議論されています。
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
脆弱性概要(詳細は一次情報源をご確認ください)
- CVE-2018-16864
- System Down: A systemd-journald exploit
- 対象:systemd v203(2013年4月)以降
- メモリ破損の脆弱性(攻撃者によるalloca()の操作)
- CVE-2018-16864は、Stack Clashの脆弱性と似ていますが、攻撃者が制御できるalloca()はコマンド引数から数メガバイトと大きく出来るため、Step1(衝突(スタックを他のメモリ領域と衝突させる))とStep2(実行(スタックポインタをスタックの開始アドレスに移動する))は必要なく、Step3(ジャンプ(スタックガードページを飛び越えて他のメモリ領域まで到達させる))とStep4(破壊(スタックや他のメモリ領域の破壊))だけで充分になっています。
- 詳細は一時情報源のサイト又はPDFを御確認ください。
- CVE-2018-16865
- System Down: A systemd-journald exploit
- 対象:systemd v230(2016年2月)以降
- メモリ破損の脆弱性(攻撃者によるalloca()の操作)
- CVE-2018-16864は、Stack Clashの脆弱性と似ていますが、攻撃者が制御できるalloca()は4Gバイトに出来るため、Step1(衝突(スタックを他のメモリ領域と衝突させる))とStep2(実行(スタックポインタをスタックの開始アドレスに移動する))は必要なく、Step3(ジャンプ(スタックガードページを飛び越えて他のメモリ領域まで到達させる))とStep4(破壊(スタックや他のメモリ領域の破壊))だけで充分になっています。
- 詳細は一時情報源のサイト又はPDFを御確認ください。
- CVE-2018-16866
- System Down: A systemd-journald exploit
- 対象:systemd v221(2015年6月)以降
- 情報の漏洩(境界外読み取り)
- 詳細は一時情報源のサイト又はPDFを御確認ください。
主なディストリビューションの対応状況
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2018-16864
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2018-16864
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2018-16864.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
[参考]
System Down: A systemd-journald exploit
10年以上前からあるLinux Kernelの懸念点が脆弱性として発見された「Stack Clash」――意図的に公開が遅らされた理由 (1/2)
glibcにStack Guard Page迂回の脆弱性(CVE-2017-1000366) — | サイオスOSS | サイオステクノロジー
セミナー情報1
2019/02/08 19:00-21:00に「DRBD開発の最新動向を聞く夜 (つまりDRBDメイン開発者Philippが来日するので迎撃したい。)」が開催されます。SIOSは会場の提供をさせて頂きます。
DRBDメイン開発者の Philipp Reisner が来日するというので,日本のコミュニティに向けてもDRBDの最新情報を話してもらう場となります。お話は英語で行われます。当日は懇親会も予定しております(ビール、ピザなど)。
https://connpass.com/event/116940/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。
セミナー情報2
2019/02/12 17:00-19:30で、「NGINX MeetUp Tokyo #2」を行います。
日本のNGINXユーザー、また関心をお持ちの方に向けてNGINX, Inc. CTO / Igor Sysoevを 招きNGINX最新情報をお届けします。セッション終了後には懇親会を用意しておりますので、NGINXを利用する方同士で交流もいただけます。
https://nginx-mj.connpass.com/event/116837/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。