こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
08/29/2019にKea DHCP (ISC DHCPの後継) の複数の脆弱性情報(Medium: CVE-2019-6472, CVE-2019-6473, CVE-2019-6474)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク(最新5件)]
一次情報源
CVE-2019-6472: A packet containing a malformed DUID can cause the kea-dhcp6 server to terminate
CVE-2019-6473: An invalid hostname option can cause the kea-dhcp4 server to terminate
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|
CVE-2019-6472 | 1.4.0->1.5.0, 1.6.0-beta1, 1.6.0-beta2 | Vendor: Medium | Vendor: CVSS 6.5 Medium/CVSS Vector: CVSS:3.0/AV:A/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H |
CVE-2019-6473 | 1.4.0->1.5.0, 1.6.0-beta1, 1.6.0-beta2 | Vendor: Medium | Vendor: CVSS 6.5 Medium/CVSS Vector: CVSS:3.0/AV:A/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:N/I:N/A:H |
CVE-2019-6473 | 1.4.0->1.5.0, 1.6.0-beta1, 1.6.0-beta2 | Vendor: Medium | Vendor: CVSS 5.7 Medium/CVSS Vector: CVSS:3.0/AV:A/AC:L/PR:N/UI:R/S:U/C:N/I:N/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-6472
- リモートからのDoSの可能性
- 悪意のあるDUIDを含むパケットにより、Kea DHCPv6サーバプロセス(kea-dhcp6)がアサーションフェーラを起こして終了する可能性が有ります。
- リモートからのDoSの可能性
- 不正なhostnameオプションによりKea DHCPv4サーバプロセス(kea-dhcp4)がアサーションフェーらを引き起こして終了する可能性が有ります。
- リモートからのDoS(サーバ再起動不可)の可能性
- クライアントリクエスト入力に関してのチェックの漏れにより、KEAサーバのリースストレージに、サーバが再起動した際に無効として拒否されるリースが含まれる場合があります。そのようなリースの下図がハードコードされている限界値を超えると、サーバが再起動した際にリースストアに問題があるとされてギブアップされてしまいます。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2019-6472
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
CVE-2019-6472: A packet containing a malformed DUID can cause the kea-dhcp6 server to terminate
CVE-2019-6473: An invalid hostname option can cause the kea-dhcp4 server to terminate
セキュリティ系連載案内
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- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
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コンピュータセキュリティシンポジウム2019(長崎)が2019年10月21日(月) ~ 10月24日(木)で開催されます。
こちらですが、OSSセキュリティ技術の会も後援になっており、オープンソースソフトウェア(OSS)セキュリティ技術トラック(略称:OWSトラック) も用意しております。