linux kernelの脆弱性( CVE-2017-1000363 )
こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
05/23/2017にkernelの脆弱性情報(CVE-2017-1000363)が公開されました。linux-2.2系以降4.12-rc2まで全てのバージョンに影響するということなので、今回はこの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://git.kernel.org/pub/scm/linux/kernel/git/torvalds/linux.git/commit/?id=3e21f4af170bebf47c187c1ff8bf155583c9f3b1
lp_setup()の整数オーバーフロー
4.12-rc1までのLinux Kernelでlpドライバーの境界値チェックに問題があり、悪意のあるkernel コマンドライン引数に”lp=none”を多数与えることでparport_nr[]配列にオーバーフローを引き起こさせることが出来る可能性が有ります。この脆弱性は”CONFIG_PRINTER=y”がカーネルコンフィグに指定されていることが条件になります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2017-1000363
Red Hat Enterprise Linux/CentOS
Ubuntu
SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat Satelliteを使うと管理が便利でしょう。
Red Hat Satelliteを用いた一般的なErattaの適用は、『Red Hat Satellite 6でerrataを適用してみる』を
参考にして下さい。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
http://www.openwall.com/lists/oss-security/2017/05/23/16
セミナー情報
5/31-6/2に行われる「Open Source Summit Japan 2017」の中で、本ブログの執筆者である面 和毅が講演を行います。
6/1 14:00-14:40に行われる「OSS CVE Trends」というセッションで講演を行いますので、参加される方は是非お立ち寄り下さい。