こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
12/16/2019にLinux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19767, CVE-2019-19768, CVE-2019-19769, CVE-2019-19770)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-19807)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19447, CVE-2019-19448, CVE-2019-19449)
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-14901)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18675)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18683)
一次情報源
https://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=205609
https://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=205711
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|
CVE-2019-19767 | Linux Kernel < 5.4.2 | ||
CVE-2019-19768 | Linux Kernel = 5.4.0-rc2 | ||
CVE-2019-19769 | Linux Kernel = 5.3.10 | ||
CVE-2019-19769 | Linux Kernel = 4.19.83 |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19767
- use-after-freeの問題
- 5.4.2より前のLinux Kernelでは fs/ext4/inode.cとfs/ext4/super.cでの__ext4_expand_extra_isizeやext4_xattr_set_entryに対して、ext4_expand_extra_isizeの取扱いに不備があり、use-after-freeが発生する問題があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19768
- use-after-freeの問題
- 5.4.0-rc2のLinux Kernelでは kernel/trace/blktrace.cでの__blk_add_trace()関数でuse-after-free (read)が発生する問題があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19769
- use-after-freeの問題
- 5.3.10のLinux Kernelでは include/trace/events/lock.hに関連してperf_trace_lock_acquireでuse-after-free (read)が発生する問題があります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19770
- use-after-freeの問題
- 4.19.83のLinux Kernelでは fs/debugfs/inode.c 中のdebugfs_remove()関数でuse-after-free (read)が発生する問題があります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2019-19767
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2019-19768
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-19767.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-19768.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-19769.html
https://people.canonical.com/~ubuntu-security/cve/2019/CVE-2019-19770.html
- SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2019-19767.html
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2019-19768.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=205609
https://bugzilla.kernel.org/show_bug.cgi?id=205711
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
12/23(月) 19:00から21:00で、恵比寿のRed Hat様(会場)「RHEL好きの集い」コミュニティによるイベント「RHEL好きの集い Vol.2.1 」を開催致します。
今回は”〜RHEL8のライブカーネルパッチとUBIを深堀り〜”と題しまして、RHEL8.1から正式サポートになりましたkpatchと、UBIを深堀するイベントとなります。
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