こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
12/17/2019にLinux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19813, CVE-2019-19814, CVE-2019-19815, CVE-2019-19816)が公開されています。今回はこれらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19767, CVE-2019-19768, CVE-2019-19769, CVE-2019-19770)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-19807)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19447, CVE-2019-19448, CVE-2019-19449)
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-14901)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18675)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18683)
一次情報源
https://github.com/bobfuzzer/CVE/tree/master/CVE-2019-19813
https://github.com/bobfuzzer/CVE/tree/master/CVE-2019-19814
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|
CVE-2019-19813 | Linux Kernel = 5.0.21 | ||
CVE-2019-19814 | Linux Kernel = 5.0.21 | ||
CVE-2019-19815 | Linux Kernel = 5.0.21 | ||
CVE-2019-19815 | Linux Kernel = 5.0.21 |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19813
- use-after-freeの問題
- Linux Kernel 5.0.21では、細工されたbtrfsファイルシステムイメージをマウントし、いくつかの操作を実行すると、syncfsシステムコールが発行され、kernel/locking/mutex.c中の__mutex_lock()でuse-adter-freeが発生する可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19814
- slab境界外書き込みアクセスの問題
- Linux Kernel 5.0.21では、細工されたf2fsファイルシステムイメージをマウントすることにより__remove_dirty_segmentのslab境界外書き込みアクセスを引き起こす可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19815
- NULLポインタ被参照の問題
- Linux Kernel 5.0.21では、細工されたf2fsファイルシステムイメージをマウントすることにより、fs/f2fs/recovery.c中のf2fs_recover_fsync_data()でNULLポインタ被参照を引き起こす可能性が有ります。
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-19816
- slab境界外書き込みアクセスの問題
- Linux Kernel 5.0.21では、細工されたbtrfsファイルシステムイメージをマウントし、いくつかの操作を実行すると、fs/btrfs/volumes.c中の__btrfs_map_block()でslab境界外書き込みアクセスが発生する可能性が有ります。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
[参考]
https://github.com/bobfuzzer/CVE/tree/master/CVE-2019-19813
https://github.com/bobfuzzer/CVE/tree/master/CVE-2019-19814
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報1
12/23(月) 19:00から21:00で、恵比寿のRed Hat様(会場)「RHEL好きの集い」コミュニティによるイベント「RHEL好きの集い Vol.2.1 」を開催致します。
今回は”〜RHEL8のライブカーネルパッチとUBIを深堀り〜”と題しまして、RHEL8.1から正式サポートになりましたkpatchと、UBIを深堀するイベントとなります。
プログラム内容と申し込みの詳細につきましては、こちら(connpass)を御確認下さい。