こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
12/12/2019にCisco TalosによるLinux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-5108)が公開されています。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの権限昇格の脆弱性情報(CVE-2019-19241)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19813, CVE-2019-19814, CVE-2019-19815, CVE-2019-19816)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19767, CVE-2019-19768, CVE-2019-19769, CVE-2019-19770)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19767, CVE-2019-19768, CVE-2019-19769, CVE-2019-19770)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-19807)
Linux Kernelの複数の脆弱性情報(CVE-2019-19447, CVE-2019-19448, CVE-2019-19449)
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-14901)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-18675)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|
CVE-2019-5108 | Linux Kernel < 5.3 | Talos: CVSS 7.4 | Talos: CVSS 7.4 – AV:A/AC:L/PR:N/UI:N/S:C/C:N/I:N/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-5108
- use-after-freeの問題
- Linuxカーネルは、ローミングをサポートするためにInter-Access Point Protocol(IAPP)ロケーションアップデートを送信し、クライアントがあるアクセスポイントから別のアクセスポイントにシームレスに移動できるようにしています。ただし、Authentication and AssociationRequestパケットを受信すると、Linuxは接続ステーションのMACアドレスを含むブロードキャストパケットをLANに送信します。このパケットは、ステーションが正常に認証される前に送信されます。カーネルは、この機能を提供するドライバーcfg80211_send_layer2_update()のヘルパー機能を提供します。ieee80211_add_station()で、完全な認証が完了する前に新しいステーションエントリが追加されると、ドライバーはこの関数を呼び出します。
認証されていない攻撃者は、一意のMACアドレスの大きなセットを反復処理して、アップストリームネットワークインフラストラクチャ内でDoS攻撃を引き起こす事が出来る可能性があります。たとえば、攻撃者はこの脆弱性を使用してスイッチに多数のMACアドレスを送り込み、CAMテーブルの容量を満杯にして、新しいMACアドレスの学習から切り替えることが出来ます。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。