こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
03/06/2021にLinux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2021-27364, CVE-2021-27365, Moderate: CVE-2021-27363)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2021-20226)
Linux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2021-26708)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3347)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2020-27835)
Linux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2020-36158)
Linux Kernelに複数の脆弱性(Moderate: CVE-2020-29660, CVE-2020-29661)
Linux Kernelに権限昇格の脆弱性(Moderate: CVE-2020-29534)
Linux Kernelに権限昇格の脆弱性(Moderate: CVE-2020-14351)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2021-27363 | Linux Kernel <= 5.11.3 | Subject: Linux iscsi security fixes | Red Hat: 3.6 Moderate | Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:L/I:N/A:L |
CVE-2021-27364 | Linux Kernel <= 5.11.3 | Subject: Linux iscsi security fixes | Red Hat: 6.3 Important | Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:H |
CVE-2021-27365 | Linux Kernel <= 5.11.3 | Subject: Linux iscsi security fixes | Red Hat: 7.0 Important | Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:H/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:H/A:H |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-27363
- 5.11.3までのLinux Kernelでセキュリティ上の問題が見つかりました。カーネルポインタの漏洩を用いてiscsi_transport構造体のアドレスを決定出来ます。iSCSIトランスポートがiSCSIサブシステムに登録されている場合、/sys/class/iscsi_transport/$TRANSPORT_NAME/handleのsysfsファイルシステムを用いて非特権ユーザはトランスポートをハンドリングできます。readを行った場合、drivers/scsi/scsi_transport_iscsi.c中のshow_transport_handle()関数が呼び出され、ハンドルが漏洩します。このハンドルは実際にカーネルモジュールのグローバル変数であるiscsi_transport構造体へのポインタです。
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-27364
- 5.11.3までのLinux Kernelでセキュリティ上の問題が見つかりました。drivers/scsi/scsi_transport_iscsi.cは、非特権ユーザがNetlinkメッセージを作成する事で悪影響を受けます。
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-27365
- 5.11.3までのLinux Kernelでセキュリティ上の問題が見つかりました。特定のiSCSIデータ構造体には適切な長さの制限やチェックがないため、PAGE_SIZE値を超える可能性があります。非特権ユーザはiSCSIに関連付けられ、Netlinkメッセージの最大長のNetlinkメッセージを送信することが出来ます。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
https://security-tracker.debian.org/tracker/CVE-2021-27363
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
https://access.redhat.com/security/cve/CVE-2021-27363
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
https://www.suse.com/security/cve/CVE-2021-27363.html
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
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- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
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- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
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