こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
06/15/2021にLinux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-34693)が公開されました。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク]
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3573)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3587)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-20292)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-22543)
Linux Kernelの脆弱性(Important: CVE-2021-33200)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-20177)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-31440)
Linux Kernelの脆弱性(Moderate: CVE-2021-3564)
Priority
CVE番号 | 影響するバージョン | 一次情報源 | Priority | CVSS Score / CVSS Vector |
---|---|---|---|---|
CVE-2021-34693 | 2.6.25-rc1 <= Linux Kernel <= 5.12.10 | Red Hat: 6.2 Moderate | Red Hat: CVSS:3.1/AV:L/AC:L/PR:N/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:N |
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- https://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2021-34693
- 情報の漏洩の可能性
- 5.12.10までのLinux Kernelのnet/can/bcm.cには、CAN BCMメッセージで使用されるbcm_msg_head()構造体で自動パディングの際に4-byteの初期化されない部分を含んでいることがわかりました。この4-byteは構造体がスタックにアロケーションされた際にKernelスタックの情報を含みます。
これを利用して、非特権のユーザが次の手順を用いて情報漏えいを再現することが出来ます。
- CAN BCMソケットをopenしてconnectする
- ソケットでsendmsg()をRX_SETUPと共に用いてCAN BCM メッセージレシーバをセットアップする
- メッセージがメッセージレシーバにより受信され、bcm_msg_head構造体でパックされキューイングされる
- メッセージ受信のためにrecvmsg()が使用され、最終的に初期化されていないバイトがユーザスペースに漏洩する
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、pacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
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