こんにちは。SIOS OSSエバンジェリスト/セキュリティ担当の面 和毅です。
05/23/2019にLinux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-10142)が公開されています。今回はこちらの脆弱性の概要と、各ディストリビューションの対応について簡単にまとめてみます。
[過去の関連リンク(最新5件)]
Linux Kernel中のIntel(R) i915ドライバの脆弱性情報(High/Important: CVE-2019-11085)
Linux Kernelの脆弱性情報(Important: CVE-2019-11815)
Linux Kernelの脆弱性情報(CVE-2019-11810, CVE-2019-11811)
Linux Kernelの脆弱性情報(Critical: CVE-2019-11683 : GRO packet of death)
Linux Kernelの脆弱性情報(Moderate: CVE-2019-11599 (CVE-2019-3892))
Priority
- CVE-2019-10142
Important
- SuSE
- Red Hat Customer Potal
- CVSS v3 Base Score: 7.1
- Vector: CVSS:3.0/AV:L/AC:L/PR:L/UI:N/S:U/C:H/I:N/A:H
- NVD
- SuSE
修正方法
各ディストリビューションの情報を確認してください。
CVE概要(詳細はCVEのサイトをご確認ください)
- http://cve.mitre.org/cgi-bin/cvename.cgi?name=CVE-2019-10142
- システムクラッシュの可能性
- 重要度 – Important
- freescale ハイパーバイザーのLinux Kernelでの実装に問題が見つかりました。ioctlを通じて渡されたパラメータの確認が不適切で、これがページサイズの計算時に用いられていました。
“param.count”値はu64です。コードの方ではparam.countが少なくとも1であると仮定しているため、そうでない場合にはZERO_SIZE_PTRのディリファレンスに繋がります。更に加算によって整数オーバーフローが発生し、必要な数よりも少ない”page”配列が割り振られることになります。
攻撃者はこれを利用して、システムでメモリ競合を起こしたり、システムをクラッシュさせることが可能です。
- この問題のLinux Kernelソースでの修正は以下になります。
diff --git a/drivers/virt/fsl_hypervisor.c b/drivers/virt/fsl_hypervisor.c index a41431e..93d5beb 100644 --- a/drivers/virt/fsl_hypervisor.c +++ b/drivers/virt/fsl_hypervisor.c @@ -215,6 +215,9 @@ static long ioctl_memcpy(struct fsl_hv_ioctl_memcpy __user *p) * hypervisor. */ lb_offset = param.local_vaddr & (PAGE_SIZE - 1); + if (param.count == 0 || + param.count > U64_MAX - lb_offset - PAGE_SIZE + 1) + return -EINVAL; num_pages = (param.count + lb_offset + PAGE_SIZE - 1) >> PAGE_SHIFT; /* Allocate the buffers we need */
- これらの修正は、Linux Kernelでは次のものになります:3.18.140 4.4.180 4.9.177 4.14.120 4.19.44 5.0.17 5.1.3 。
主なディストリビューションの対応方法
詳細は、各ディストリビューションの提供元にご確認ください
- Debian
- Red Hat Enterprise Linux/CentOS
- Ubuntu
- SUSE/openSUSE
対処方法
各ディストリビューションの案内に従い、アップデートを行ってください。全てのRed Hat製品でパッチが行き渡っているかを確認するには、Red Hat SatelliteやKatello、Spacewalk等を使うと管理が便利でしょう。
また、OSの再起動が発生しますので、peacemakerなどOSSのクラスタ製品やLifeKeeperなどの商用のクラスタリング製品を使うとサービス断の時間を最小限にすることが出来ます。
セキュリティ系連載案内
- OSSセキュリティ技術の会による日経Linuxでの連載「IoT時代の最新SELinux入門」がITPro上で読めるようになりました。技術の会代表で第一人者である中村さん等による、最新のSELinuxの情報やコマンド類等も更新されているのでお薦めです。
- OSSセキュリティ技術の会によるThinkITでの連載「開発者のためのセキュリティ実践講座」がThinkIT上で開始しました。技術の会の中の人間で、最新の代表的なOSSセキュリティ技術を紹介していきます。
- OSSセキュリティ技術の会により、ThinkITでLinuxSecuritySummit 2018のレポートが紹介されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OSS脆弱性ウォッチ」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会の面により、@ITで「OpenSCAPで脆弱性対策はどう変わる?」が連載されています。
- OSSセキュリティ技術の会のメンバーにより、@ITで「Berkeley Packet Filter(BPF)入門」が連載されています。
セミナー情報 1
2019/06/07 19:00に、「OSSセキュリティ技術の会 第五回勉強会 (副題:KeycloakとWebAuthnのツインシュートの巻)」と題しまして、勉強会を開催することになりました。
コミュニティ開発に携わる人が最前線を語ります。開発コミュニティへの要望welcomeです。
プログラム内容と申し込みの詳細につきましては、 下記の通りとなります。奮ってご参加下さい。
セミナー情報2
2019/07/31 10:00-17:00で開催される、一般社団法人 日本情報システム・ユーザ協会(JUAS)様による有料ハンズオンセミナー「ハンズオンで学ぶ!クラウド時代の運用管理とセキュリティ対策 」にて当ブログの筆者「面 和毅」が講師を努めます。
本セミナーでは、大手ベンダーや外資系企業、ユーザー企業などでセキュリティの専門家として20年以上の経験を持ち、現在、セキュリティエバンジェリストとして活躍する講師が実体験を交えながら、クラウド上のサーバーを安価に守る方法を、演習をまじえ、具体的にお伝えします。
https://juasseminar.jp/seminars/view/4119290にて申し込みを行っております。奮ってご参加ください。
セミナー情報3
2019/05/30 18:00-22:00で、「「やってはイケナイ」をやってみよう」セミナーを行います。
このセミナーでは、実際に色々な「やってはイケナイ」をデモを交えて行い、実際にどのような問題が発生するのかを確認し、その様な万が一の場合を防ぐために行っておくべき対策を紹介していきます。
https://sios.connpass.com/event/129136/がプログラム内容と申し込みの詳細になります。奮ってご参加下さい。